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食事やタクシーが「お勘定レス」 変わるお金の感覚

(三浦茜)

外でのランチは時間がかかる。席について、メニューを選び、調理されるのを待つ。そして運ばれてきたら食べて、お会計をお願いする。米国の場合、テーブルごとにオーダーもお会計も同じ人に頼む必要がある。

「オールセット」は入店前に注文や会計を済ませられる

担当者が決まっているというと聞こえがいいが、その人にしか頼めないため逆に時間がかかる原因になっている。最低でも1時間、通常は1時間半ぐらい。ということで筆者はほとんど外食しない。だがこれを40分も短縮してくれるアプリがあるという。レストランの席の予約、注文、そして支払いまで済ませられるAllset(オールセット)というアプリだ。

先日、友人とランチの際に使ってみた。アプリを開くと近くでサービスに対応しているレストランが表示される。現在サンフランシスコとニューヨークで140店が登録されているそうだ。徒歩5分のフレンチビストロを選び、メニューからハンバーガーを選んだ。

友人の好みを聞くのに少し手間取った。予約の時間は15分刻み。30分後を選び、しばらくするとレストランから予約確定の通知がきた。店が混んでいる時などは、断られる場合もあるようだ。

予約した時間に店に行くと、何も言わないうちにバーガーが出てきた。ものの1分ほどだった。そのままバーガーを食べて席を立つ。お支払いは無し。レストラン滞在時間は20分ほどだった。確かに40分短縮されている。正直なところ、料理を待つ間の会話もなく、店員との会話もないため、少々味気ない気がした。1人ランチ向きのサービスかもしれない。

店員にオペレーションを聞いたところ、店用と思われるアプリを見せてくれた。筆者がアプリ登録時にフェイスブック認証を使ったため、そこには筆者の顔が表示されていた。それで判別したらしい。店はオールセットに1人あたり1ドルを払う。このアプリ導入でランチの売り上げが25%向上した店もあるという。集客になり回転も速いので店としても良いサービスではないだろうか。

筆者が最近注目しているのは、この「会計レス」という体験だ。日本も電子マネーなどで現金レスは増えていると思うが、会計という行為はまだ根強くあると思う。しかし筆者が最近利用しているサービスはお会計がないものが多い。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

朝、スターバックスでコーヒーを買う。その際も事前にモバイルオーダーしているので、会計はアプリ内で完了している。店に立ち寄りピックアップするだけである。また移動時によく使う配車アプリのウーバーも、目的地を入力して近くにいる車を呼ぶ。目的地に着いたら降りるだけ。ここでも会計はない。

スーパーでも会計レスだ。カーブサイドというアプリを使い、欲しいものを選ぶとスーパーに着く頃には商品が袋に詰められた状態で待っている。すべて初回に登録したクレジットカードと連携しているが、「お金は動いているけど実際の紙幣は動かない」という体験により、お金に対する感覚が変化しているように感じる。

米アマゾンは会計レスだけでなく「オーダーレス」に取り組んでいる。アマゾンダッシュ・リプレニッシュメントというサービスで、例えば対応するプリンターはトナーが切れそうになったら勝手に注文してくれる。

筆者もこれに対応した浄水器を購入した。フィルターの替え時になると、何もしなくてもアマゾンから送られてくる。テクノロジーによりどんどん怠け者になってしまいそうだが、未来的でわくわくする展開である。

(スクラムベンチャーズ マーケティングVP)

〔日経MJ2016年11月18日付〕

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