拡大余地は大きい日印関係 - 日本経済新聞
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拡大余地は大きい日印関係

インドのモディ首相が来日し、これにあわせて日印の両政府は原子力協定を結んだ。両国の経済関係は着実に深まっていると評価できる。ただ、潜在力を十分に発揮しているとはいえない。

核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドとの原子力協定の締結は、非核の悲願や核不拡散の理念にもとる、との批判が日本国内にある。これに対し政府は、協定とは別の文書で歯止めをかけた、としている。

電力不足が深刻なインドは原発の増設を進めている。日本は提供した技術などが軍事転用されないよう注視しつつ、インドが安全に原子力を利用できるよう協力していくべきだろう。NPT加盟を働きかけていくことも大切だ。

両国政府はまた、インド西部のムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道を2018年に着工し23年の開業をめざす、とする文書を交わした。この路線は日本の新幹線方式を採用する。

インドの重要なインフラの整備に日本が深くかかわることで、両国の経済関係は格段に緊密になりつつあるといえる。それでもアジアで2位と3位の経済規模をもつ国同士としては物足りない。たとえば15年の日本の対印輸出は1兆円弱で対中の17分の1以下だ。

原因としてはインドの煩雑な行政手続きのほか、人材の不足や低調な人的交流などが指摘されている。今回、トヨタ自動車スズキダイキン工業による「ものづくり学校」の設立に向けた合意ができたことは、これからの発展の足がかりとして意義があろう。

専用の窓口を政府内に設けるなど、モディ首相は日本企業の誘致に意欲的だ。日本の政府と企業はインドへの投資をさまたげている問題を率直に指摘して、投資環境の改善を促す必要がある。

05年以来、日印両国の首相は毎年、交互に訪問している。米国の次期大統領にトランプ氏が当選するなど、変化の激しい国際情勢に的確に対処していくためにも、関係を深めていきたい。

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