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天井や壁から巨大な顔や缶 集客向けに演出

(藤元健太郎)

デジタルサイネージ(電子看板)が、商業施設では当たり前の存在になってきた。

当初は紙の代わりにディスプレーを使った「動くポスター」のような見方をされ「『ちょっときれいなポスター』のくせにとても高い」と言われていた。

しかし、タッチパネル対応のものが登場したことで、インタラクティブにコンテンツ表示ができるようになり、案内スタッフや店員の代わりとしても活用されるようになってきた。

現在、マクドナルドも一部の店舗ではサイネージを利用した大型注文端末を設置して無人化実験を始めている。多言語表示もできるため、インバウンド(訪日外国人客)対応も含めてこの流れは進むだろう。

サイネージでもうひとつの注目すべき流れは大型化だ。低コスト化が進んだことで、大画面をつなげた巨大なサイネージが登場してきている。また4K、8Kなど高精細、高解像度なコンテンツの表示も可能になり、仮想空間のような演出もできるようになってきている。

技術的には有機ELも登場し、曲面への設置も可能になるため、曲がった壁を一面ディスプレーにすることも可能になりつつある。店舗や施設では、もはや「電子看板」の枠に収まらない大胆なディスプレーの活用事例が登場している。

先日のバスケットボール「Bリーグ」の開幕戦では、コート一面が発光ダイオード(LED)ディスプレーになっていたことが話題になった。

選手紹介など通常の大型ビジョンのような使い方はもちろん、試合の進行にあわせて、3ポイントシュートなのか、タイムアウトなのかなどをコート上にグラフィックでわかりやすく表示した。

視線を壁の画面などに持って行かなくても、コートだけ見ていれば良いというのは観客にも便利だ。2020年の東京五輪に向けて、スポーツ施設での活用のイメージが湧いたという意味でも注目だった。

米国ではラスベガスにあるSLSホテルが話題になっている。バーの天井に大スクリーンがあり、立体的で巨大な人間の顔や飲料の缶が空間から湧き出すように表示される。これを見るためにわざわざこのバーに来る人も多いようだ。今後は壁一面、天井一面をこうしたディスプレーにし、店舗やブランドのコンセプトを表現する店舗が増えていくだろう。

内装の考え方も大きく変わる。映像コンテンツさえ入れ替えれば大きく雰囲気を変えられるため、内装にコストをかけるよりもディスプレーで表現を変える「デジタル居抜き」という考え方も出てくるかもしれない。

すでに米国や中国ではネット通販との競争の結果、リアルの店舗を大幅に縮小するような企業が出始めている。

仏ユニボール・ロダムコ社がパリに開いた商業施設、ル・キャトル・タン・モールは、オンライン店に対抗するという戦略で作られている。実に1527枚のLEDタイルで、映像体験を楽しませる。

国内デジタルサイネージ大手、ピーディーシー(東京・港)の菅原淳之社長は「日本でも18年ごろからラグジュアリーブランドのあるショッピングモールなどで本格的に導入が始まるだろう」と語る。

そうは言っても、設置コストとコンテンツ制作、運用コストを考えるとかなりの投資になる大型ディスプレー。オムニチャネル化の中でショールームとしてのリアル店舗の価値が重要になるなか、どのタイミングで巨大投資に踏み切るか。多くの企業にとって重要な判断になりそうだ。

[日経MJ2016年11月4日付]

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