2019年7月18日(木)

テロへの備え迫る宇都宮事件

2016/10/25 3:30
保存
共有
印刷
その他

宇都宮市の宇都宮城址公園で爆発があり、元自衛官の男が死亡する事件が起きた。ほかにも男性3人が巻き添えで重軽傷を負った。ほぼ同じ時間帯に、近くにある駐車場に止めてあったこの男の車と、男の自宅も炎上した。

栃木県警は死亡した男が威力の強い爆発物で自殺を図ったとみて調べている。公園では当時、市民らによる「宇都宮城址まつり」の真っ最中だった。爆発の場所やタイミングなどによっては、大惨事になった可能性もある。

見つかった遺書などから、自殺は家庭内の問題が背景にあるとみられるが、犯行の様態は欧米で相次ぐローンウルフ(一匹おおかみ)型のテロを思わせるものだ。

反社会的で過激な考えにとらわれ、爆弾などの武器を調達し、無関係の他者を巻き込む殺傷事件を起こす――。政治的主張や宗教的思想が理由ではないというだけで、まさに身勝手な「自爆テロ」というほかない。

この事件は私たちの社会もまた、テロと無縁ではないことを改めて示した。銃器の規制が厳しい日本では、爆発物への対応がより大きな課題であることも再認識する必要がある。

宇都宮の爆発の現場には、半径数十メートルにわたって金属片が散らばっていたという。こうした爆弾の作り方は過激派組織「イスラム国」(IS)やアルカイダが発行する機関誌をはじめ、インターネット上に流布している。

日本で手製爆弾による事件は過去にも起きている。だが爆弾の原料となる化学物質は薬品や肥料として広く使われるため、厳しい規制は難しい。警察が薬局やホームセンターなどを回り、こうした物質を販売する際の本人確認の徹底や不審な購入者の通報を求めることが対策の柱になっている。

テロに限らず、犯罪を起こそうとする者の手に爆弾などの武器が容易に渡らない仕組みが要る。現在の取り組みを徹底し、さらに有効なチェック方法などを考えていきたい。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。