2018年12月14日(金)

孫の世代を考えた年金改革が必要だ

2016/10/24 3:30
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年金支給額を抑えるための新たな方策を盛り込んだ年金改革法案を巡り、与野党の対立が激しくなっている。現行制度の下では、早いうちに年金給付を抑えておけば、将来の年金を想定以上に大きく下げなくて済む。国会では、世代間のバランスを踏まえた本質的な議論を期待したい。

厚生年金や国民年金は原則として、毎年の物価や現役世代の賃金の変動に合わせて支給額を改定している。今回の法案で焦点になっているのは、物価・賃金が下がった場合の扱いだ。

今は物価より賃金の方が下がっていても、物価分だけしか支給額を下げない。しかし法案では賃金と同じだけ支給額も下げるとした。制度を支える現役世代の収入が減るのなら、年金もそれに準じてもらおうとの考えだ。これに対し野党は「高齢者の生活が打撃を受ける」と批判を強めている。

年金制度は2004年の改革で大きく変わった。現役世代の負担を考慮して保険料に上限を設け、その財源の範囲内で年金を給付することにしたのだ。

厚生年金保険料率などの引き上げは17年で終わる。その後は一定の保険料収入と現在約130兆円ある積立金を取り崩しながら、年金を支給する。今の高齢者に多く支給すれば、将来の高齢者のための財源はその分厳しくなる。

今回の法案の中には、今と将来世代のバランスを取るための別の方策も盛り込まれている。年金支給を毎年小刻みに切り下げていく「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みの見直しだ。

現在、同スライドは物価や賃金が下がるデフレ下では実施できない。法案では、デフレ下で実施できなかった分は持ち越して、物価や賃金が上がった年にまとめて引き下げるとしている。

どちらも年金をもらっている高齢者にとっては厳しい措置になる。しかし、孫の世代のための改革と考えれば、理解を得られないだろうか。保険料を負担する人は減り、年金受給者は増えるのだから、どちらも痛みを分け合って、制度の持続性を高めていくしかない。国会では国民の理解が深まる議論をしてもらいたい。

デフレ下で年金がどうなるのかばかり議論している場合でもない。デフレを脱し、安定して賃金が上がる環境作りに政府や与野党は全力を尽くすべきだ。それこそが年金制度の安定にもつながる。

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