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米国経済の持続的成長に必要なことは

米国の景気は拡大を続けており、年内に利上げが実施される公算も大きくなりつつある。成長の持続を確実にするには、なお弱い企業の投資を促したり、雇用の質を高めたりすることが重要だ。

だが、大統領選挙戦では実のある政策論議はほとんど聞かれず、候補者からはむしろ経済活動を阻害しかねない保護主義的な発言が目立つ。政治への不安が経済拡大の芽を摘むようなことは避けなければならない。

米国経済の原動力である個人消費はこのところ堅調な動きを続けている。雇用が改善し賃金も回復傾向にあるためだ。半面、企業の設備投資はエネルギー関連の落ち込みを反映して伸び悩んでいる。

投資低迷を背景に今年前半の実質成長率は1%程度と鈍化したものの、後半は回復に向かっているとの見方が多い。好調な消費に加え、原油価格の底打ちを背景にエネルギー関連投資の減少が止まるとみられているからだ。

金融危機から8年たった米国経済の課題は、金融政策や財政政策によって景気を刺激することよりも、いかに潜在的な成長力を高めるかに移っている。

企業の投資伸び悩みは、原油安やドル高、海外経済の低迷による面も大きいが、ビジネス環境に対する不安感も影を落としている。

米企業からは、世界的に高い法人税率に加え、企業活動を阻害しかねない細かな規制が増えたとの不満が聞かれる。さらに大統領選で民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補がともに環太平洋経済連携協定(TPP)に反対するなど、政治の内向き志向が高まっていることへの懸念も強い。

企業のグローバル活動を萎えさせたり、過剰な金融規制で市場の安定を損ねたりしないようにすべきだ。米企業による国内送金への課税減免や、経済の効率性を高める一定のインフラ投資などが求められる。

雇用問題の焦点は、企業が求める技能を持った人材が足りないミスマッチをどう解消するかに移っている。雇用需給は改善しているものの、給与水準の高い仕事につけない人は多い。新たな技能の獲得を支援する仕組みづくりなどによって、雇用の質を高めていくことが不可欠だ。

米国経済の拡大持続は勢いを欠く世界経済の先行きにとって極めて重要だ。くれぐれも政策の処方箋を誤らないようにしてほしい。

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