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AIや動画 生き残りへ新技術生かす米地方紙
藤村 厚夫(スマートニュース執行役員)

2016/10/20 6:30
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 年末までにはまだ時間があるが、今年、話題を呼んだ技術的キーワードといえば、筆頭はAI(人工知能)、ボット(ロボット)だろう。自動運転からインターネット経由の消費者の問い合わせ窓口まで、人に代わって思考し、人のように話し、答える技術が、急速に広がる兆しを見せた。

 その先端技術を看板に掲げ、話題を集める地方新聞紙チェーンが、アメリカにある。社名は「トロンク」。今年になり、「トリビューン・パブリッシング」という、新聞社を連想させる伝統的な社名を捨て、近未来的な響きのものにした。

 同社は「シカゴ・トリビューン」「ロサンゼルス・タイムズ」など知名度の高い日刊紙を10紙以上擁する伝統的な新聞チェーン企業だが、社名変更のタイミングに合わせて「AI」「機械学習」、そして「動画」などネットの最新技術トレンドに積極果敢に取り組む。

 大転換は、元IT起業家のマイケル・フェロ氏の運用するファンドが投資を行うと同時に、彼自らが会長職につくことから始まった。経営体制、企業ブランド(イメージ)の刷新、そして先端技術を活用したデジタルメディアへの変身への取り組みを一気に進めている。

 経営面では、新聞社をはじめとする伝統的メディア企業の常識である「編集人と発行人の分離」を廃止し、全紙で兼務とした。ブランド面では社名変更にあわせて、ニューヨーク証券取引所から技術志向の新興企業が多く集まるナスダックへとくら替えし、「テクノロジー銘柄」としてのイメージを強化。企業PRの動画にはエンジニアらを出演させて語らせる。

 単なるブランドやイメージだけでなく、実際に先進的な技術に取り組んでいる。傘下各社が制作する記事を集約する同社のポータル(玄関)サイトでは、AIや機械学習を活用して、人気記事をタイムリーに表示していくという。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

 また、イスラエルの新興企業と組んで、動画ニュースを自動的に制作できる仕組みを構築する。これは、保有する静止画(写真)等とテロップやナレーションを重ね合わせて、疑似的に動画のように見せる手法だが、これによって現在でも日に200本程度制作している動画ニュースを、最終的に2000本にまで引き上げると意気込む。

 交流サイト大手のフェイスブックから始まり、CNNなどの放送局、ニューヨーク・タイムズら新聞大手、そしてバズフィードなどの新興メディアまで、ネットで覇権を争うメディアが動画に焦点を当てている。その激戦区に参入した形だ。

 注目したいのは、劇的な体質革新をテコにした企業価値の上昇効果だ。今年10月初めには時価総額が6億ドル強となり、1年前に比べ1.7倍にまで上昇した。さらに、「USAトゥデー」をはじめ新聞社など100社以上を保有する大手メディア企業のガネットが、トロンクに対してプレミアムつきの買収提案を何度も行っている。その買収総額は8億ドルを超えるとみられる。

 ここまではIT起業家らによる投資を背景に、経営体質の刷新策が見事に成功した形だ。ただ、老舗メディアへのITマネーの流入で、文化的な衝突を引き起こしてジャーナリストらの離反を招いたケースもある。テクノロジーが業績向上にどれほど寄与するのかも、今後を待つことになる。

[日経MJ2016年10月17日付]


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