2018年1月19日(金)

成長促す労働改革をドイツに学びたい

2016/10/9 3:30
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 労働政策の役割とは何か。より重要になっているのは、グローバル化やIT(情報技術)の進化などの構造変化が進むなかでも持続的な賃金上昇と雇用増を促し、経済の成長につなげていくことだ。

 具体的には教育訓練の充実などを通じた働く人の生産性向上の支援や、成長分野に人材が移りやすい柔軟な労働市場の整備といった取り組みが欠かせない。

 政府が労働政策の見直しに向けて設けた「働き方改革実現会議」も、生産性向上など構造変化への対応策の議論を深めてほしい。

 参考になるのが、ドイツが2000年代に進めた労働市場改革だ。03年に当時のシュレーダー政権が着手した。

 この改革は解雇規制の緩和や創業支援など広範囲に及んだが、柱になったのは就労の促進だ。民間の人材サービスを積極的に活用して職業紹介を拡充し、企業による実習生の受け入れ拡大など職業訓練にも力を入れた。

 一連の改革は失業率を下げて経済を立て直す狙いがあったが、雇用指標が改善している日本にとっても、生産性向上や柔軟な労働市場づくりを進めるうえで示唆に富む。規制緩和などによる職業紹介や職業訓練の充実は世界の流れだ。日本も後れを取れない。

 ドイツの改革で見逃せないのが、労働改革を社会保障の改革と一体で進めた点である。失業給付の制度を生活保護と併せて再編成し、紹介された職を拒んだ場合は給付を減額する制度を設けた。

 日本も労働改革では税制や社会保障制度の改革と一体的に進める視点が要る。政府・与党は配偶者控除の廃止を見送る方針を固めたが、女性の就業を促すにはこの仕組みの抜本的な見直しが欠かせない。年金制度も高齢者が活躍しやすいよう工夫すべきだ。

 労働力不足を踏まえた改革も必要になる。女性や高齢者の就業を促すと同時に、外国人の受け入れ拡大が求められる。

 非正規労働者の処遇を改善する「同一労働同一賃金」や長時間労働の是正に世の中の関心が向きがちだが、これら以外にも重要なテーマは多い。働き方改革実現会議には十分な議論を求めたい。

 政府はすでに、柔軟な働き方ができる「脱時間給」制度の新設や裁量労働制の拡大を盛り込んだ労働基準法改正案をまとめている。生産性の向上が大事と考えるなら今国会で成立させるべきだ。

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