2019年1月19日(土)

お客様で終わらないシリコンバレー訪問
ジョアナ・ドレイク・アール(コア・ベンチャーズ・グループ ジェネラルパートナー)

2016/10/7 6:30
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多くのグローバル企業のビジネスリーダーたちはシリコンバレーから波及するイノベーションの足音に気づき、待った無しの状況を理解している。だからこそシリコンバレーを訪れるビジネスリーダーの姿が途切れることはない。しかし、彼らの多くは「観光気分のお客様」のように振る舞い、生煮えのイノベーション施策に飛びついている。明確な戦略的目標を掲げ、事業の枠組みを設定するリーダーはまれだ。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

シリコンバレー在住の日本人コンサルタントに伴われてグーグルやフェイスブック、スラックといった著名なシリコンバレーの企業を訪問し、空いた時間はベンチャー企業を見学する。1人だけの事業開発部を作る。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を開く。日和見的に現地の企業を買収する――。もし、あなたがこうしたことを避けて、シリコンバレーで実のある事業をしようと考えているのなら、次の3つのステップを踏むように強く勧める。

まず、現在あるいは将来の自社の中核事業にとって、どのようなビジネスモデル改革や技術革新がインパクトをもたらすのかを見定めなければならない。明確なテーマがないのに、あなたとスタートアップ(ベンチャー企業)をつなぎ合わせるのは、仲介者にとって至難の技だ。

自社の事業に対する深い考えを持たずにシリコンバレーにやってくる人は、例外なく同じ分野に興味を示すものだ。昨年であればシェアリングエコノミー、フィンテック、IoT(インターネット・オブ・シングス)。今年だったら仮想現実(VR)、人工知能(AI)、そしてひとくくりに「破壊的技術」とされるものだ。

対照的だったのがコマツだ。彼らは明確なニーズを持っていた。建設・掘削現場におけるリアルタイムの視覚化および管理を目的としており、機械から労働者、資源、岩に至るまで、あらゆるものをネットで接続する技術を見つけようとしていた。

次に具体的な目標を明示する必要がある。あなたが目指しているのは、技術トレンドの最先端に居続けることのなのか、マーケットプレースのような新しいビジネスモデルを研究することなのか、あるいは参入障壁が高く、競争優位性のある技術を獲得することだろうか。

リクルートホールディングス傘下のリクルートストラテジックパートナーズは、ソフトウエアの機能をネットを通じて提供するSaaSといった事業やシェアリングエコノミーを補完・拡張するようなスタートアップへの投資に重点を置いている。トヨタ自動車と三井住友銀行、スパークス・グループの3社は「未来創生ファンド」を設立し、先端技術革新の奨励という長期的な目標を掲げている。

重要技術と具体的目標を定めたら、スタートアップを惹きつけるロードマップを作る。最も有用なのは、具体的な目標とパートナーシップ形態を示すことだ。パートナーシップには様々な形態がある。(1)シリコンバレーのベンチャー投資ファンドの出資者になる(2)大学のインキュベーター施設で行われている先端技術研究のスポンサーとなる(3)スタートアップによる新しい技術をいち早く試す(4)スタートアップへの直接投資、買収または合弁――といったものだ。

次回は、シリコンバレーでいかに立ち回るべきかについて助言をしたい。シリコンバレーでの代表者にふさわしい人のタイトル(肩書)やプロフィル(経歴)、スタートアップとの最良な関係の構築の仕方を紹介する。

[日経産業新聞2016年10月4日付]

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