2019年9月20日(金)

春秋

2016/10/1 3:30
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三段と四段――。ごちそうの詰まった重箱でも差は大きいけれど、こちらの1階級の違いは天地を分かつほどの意味を持とう。プロをめざす将棋の世界の話だ。日本将棋連盟の棋士養成機関「奨励会」では、三段の若者たちが半年間のリーグ戦に精魂のすべてを傾ける。

▼上位2人だけが四段に上がり、晴れてプロになれる決まりだ。年齢制限もあるから夢破れて去る人は数知れず、その辛苦は並大抵のものではないという。来月公開の映画「聖(さとし)の青春」は早世した村山聖九段を松山ケンイチさんが熱演して胸を突くが、三段リーグをどうしても抜けられず退会していく青年の姿もいとおしい。

▼かくも凄絶な戦いを初挑戦で勝ち抜き、きょう史上最年少の14歳2カ月でプロの仲間入りをする藤井聡太新四段は愛知県瀬戸市の中学2年生だ。かつて加藤一二三・九段が樹立した記録を62年ぶりに更新するという。その加藤九段はいまも現役で76歳の最年長。両人が対局する場面を思えばにわかファンでも興趣は尽きぬ。

▼三段リーグはいま、西山朋佳、里見香奈両三段の存在も注目の的だ。女流の枠を離れた初の女性棋士誕生の日が来るかもしれない。「聖の青春」で、東出昌大さん演じる羽生善治王座が村山九段に言う。「どうして将棋を選んだかはわからない。ただ、あなたに負けて死ぬほど悔しい」。悔しさの生む栄冠が、きっとある。

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