2019年1月22日(火)

IoTの特許リスクに目を

2016/9/30 3:30
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人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)といった次世代技術が脚光を浴びているが、その裏で企業が特許係争に巻き込まれるリスクも増している。

経済産業省も対策の検討に乗り出した。特許制度を本来の趣旨であるイノベーションの促進につなげることが重要だ。

特許係争の主な舞台は米国で昨年は6千件弱の訴訟が起きた。うち6割強は、自ら特許を利用して製品をつくるわけではない「非実施主体(NPE)」と呼ばれる企業によって引き起こされた。

NPEは「パテントトロール(特許の怪物)」という別名でも知られる。多数の特許を保有し、事業会社を相手に賠償金や和解金狙いで訴訟を仕掛ける存在だ。

こうした訴訟リスクはIT(情報技術)分野が中心で、日本勢でもソニーやキヤノンなど電機大手は相当数の訴訟を起こされた経験を持つ。係争処理ノウハウもそれなりに蓄えてきた。

だが、近年はモノづくりとITの融合が進み、自動運転技術の開発を急ぐ自動車大手やIoTで設備の効率化をめざす機械メーカーなど、リスクにさらされる業種の幅が広がった。米企業が日本の中小企業に特許侵害の警告書を送り、和解金を手にするケースもあるとされる。

特許は発明者の権利を保護し、技術革新を促すための制度だ。訴訟リスクが過度に高まれば、新規の挑戦を阻害し、社会全体のイノベーションを停滞させかねない。日本政府は米政府などとも連携しながら実態把握を急ぎ、必要な対策をとってほしい。

企業も不当な要求ははね返す姿勢が必要だ。安易な和解は相手を調子づかせ、新たな訴訟を呼び込むリスクをはらむ。

一方でNPEに特許を売却する日本企業もある。事業を整理する際に関連する特許も一緒に売り払うのだ。少しでも資金を回収したい気持ちは分かるが、それがどんな結果をもたらすのかも同時に考えてほしい。

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