2019年2月17日(日)

メルカリが全米3位 もったいないが人動かす
日経エコロジー編集部 大西孝弘

2016/10/3 6:30
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7月下旬、日本のフリーマーケットアプリのメルカリ(東京・港)が、米国のアプリ業界を驚かせた。同社のアプリが、米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」向け無償アプリのダウンロードランキングで一時、全米3位に食い込んだのだ。

メルカリは「iPhone」向け無償アプリのダウンロードランキングで一時、全米3位に入った

メルカリは「iPhone」向け無償アプリのダウンロードランキングで一時、全米3位に入った

社会現象となっているスマホゲーム「ポケモンGO」の2位に迫る快挙だった。米国進出からわずか2年でおよそ1300万ダウンロードにも達している。

メルカリは安い商品や中古品を消費者同士が売り買いするサイトを運営し、日本のシェアリングビジネスの代表格である。メルカリUSの石塚亮CEO(最高経営責任者)は「ネットで影響力がある人が情報発信をしてくれたようだ。捨てるのがもったいないという考えが浸透しつつある」と語る。

シェアリングビジネスは、モノを共有することで製品寿命を延ばし、不必要なモノを買わなくて済むという側面がある。米国人を対象としたプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査では、消費者の76%が「シェアリングエコノミーは環境に良い」と答えた。

自家用車で乗客を有償で運ぶライドシェアも環境に良い側面がある。例えば自動車を所有していても、使わない時間帯が多ければ無駄が多い。逆にライドシェアやレンタカーを上手に利用することで、クルマを持たなくても移動の自由度が高まっている。

特に米ウーバーテクノロジーズのサービスの1つは、複数人が1台のクルマに相乗りし、他のクルマを余分に走らせないため、環境負荷を下げる効果がある。

また、米エアビーアンドビーが進めるホームシェアリングも同様の効果がある。客室の需給が逼迫している地域で、空いている自宅の部屋を旅行者などに有償で貸せば、ホテルを新規に建設しなくて済み、環境負荷を抑えられる。

シェアリングエコノミーが広がった背景には、2008年のリーマン・ショックがある。急激な景気後退で、モノやサービスのコストパフォーマンスにシビアになり、「もったいない」という意識を持つ人が増えた。とりわけ00年以降に成人になった「ミレニアル世代」は、こうした意識が強い。

早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授は「資源は有限なので、このまま世界中でクルマが増え続けていいのかという問題にメーカーは直面せざるを得ない」と指摘する。

企業は収益を確保するためだけではなく、環境イメージを維持するためにもシェアリングエコノミーを取り入れざるを得なくなっている。

積極的なのは欧米勢だ。米ゼネラル・モーターズ(GM)は1月、米ライドシェア大手のリフトと資本提携した。GMは割安でリフトの運転手にクルマを貸し出す「エクスプレスドライブ」というサービスをシカゴで始めた。

独ダイムラーグループは「car2go」(カー2ゴー)ブランドで乗り捨て型カーシェア事業に参入。多くは同社の小型電気自動車(EV)を使い分単位で課金、どこでも乗り降りできる。欧米と中国の約30都市で1万台以上が利用され、サービスを拡大している。

ただ、必ずしも環境に良い側面ばかりではない。あまりに便利であるためライドシェアを使い過ぎるという側面もある。シェアリングエコノミーはどの程度、環境や経済の持続的な成長に資するのか。市場の拡大に伴い、多様な角度からの検証が必要になるだろう。

[日経産業新聞2016年9月29日付]

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