正しい知識を医師が発信 オンライン病気事典

2016/10/1 6:30
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遠隔診療システムを提供する医療ベンチャー、MEDLEY(メドレー、東京・港)が医療情報サイトに力を入れている。病気に関する情報を約460人の医師が書き込み、更新する。ネット上に誤った情報があふれる中、気になる症状を抱えた人が適切に判断できる環境を整える。近隣の医療機関の検索もでき、病気の深刻化を防げるサイトとして注目を集める。

「インフルエンザは急激な発熱や、のどの痛みが特徴的です」「治療で最も大事なのは水分をよく取り安静にすること」。医療情報サイトの「MEDLEY」でインフルエンザの項目を見ると、詳細な情報が分かりやすく掲載されていた。

メドレー執行役員で医師の沖山翔・医療情報責任者は「ネットは極端な事例しか書いていないことがあり、その間違った知識を得て病院に来る人がいる」と指摘する。「例えば『おなかが痛いなら大腸がんかも』といった不安ばかりあおる情報がある」(沖山氏)

人の生死に関わる可能性がある情報だけに信頼できる発信元が必要だ。ならば、医師が正しい情報を発信するサイトを作れないか。

豊田剛一郎・代表取締役医師などを中心に、知り合いの医師に声をかけて「病気事典」の編さんに励んだ。サービス開始は2015年2月。最初は10人ほどだったが、現在では社内外の約460人の医師が参加する。

編集用のアカウントを作る際には、医師免許のコピーを送ってもらい信頼性を担保する。アカウント名も実名で登録する。編集作業に報酬は支払われないが、沖山氏は「正しい知識を発信したいという医師が集まってきてくれている」と胸を張る。病気についてまとめた類似サイトはあるが、医師が書き込むサイトは同社だけだという。

これまでの更新回数は約23万回に及ぶ。カバーする病気の範囲は風邪や下痢といった日常的なものから、がんや精神疾患など幅広い。1450件以上の病気を掲載していて、医学部で学ぶ病気の一通りをカバーする。

約3万3000点の医薬品の情報も収める。自分が服用している薬の副作用などが分かる。全国約16万件の医療機関の情報もあり、自分の近くの病院でどの症状が治療可能かも判断できる。

さらに、キーワード検索に不慣れな人も利用できる機能を工夫した。例えば「ズキズキ」と入力すると、頭部や腰といったどこが痛むかという項目が表示される。さらに進むと「皮膚表面の痛みか」や「どのくらいの間、痛いか」といった選択項目が出て、医師と対面しているかのような形で病気を絞り込んでいく。

「医師がどう考えて病気を診断するかということに基づいてシステムをつくっている」(沖山氏)。性別や年齢などの情報も活用する。

可能性のある病気として上位に表示するものも、季節に応じて順番を入れ替える。例えば春先には花粉症が表示されやすいようにしている。

着実に利用者を伸ばし、現在のページビュー数は月間300万以上に上る。利用者からは「ネットを見て感じた不安が解消しました」といった感謝の声が寄せられる。

加藤恭輔・執行役員は「今後1年ほどはサービスを作り込む。広告掲載や有料会員事業はそれがしっかりとできてから」と話す。繊細な情報を扱うだけに、まずは質を磨き上げる考えだ。(黒田弁慶)

[日経MJ2016年9月28日付]

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