2018年8月15日(水)

求められる米国の成長力回復

2016/9/23 3:30
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 米国の政策金利の引き上げは市場の大方の予想通り見送られた。昨年12月に9年ぶりの利上げに踏み切ってから9カ月間、不動の構えを続けていることになる。

 再利上げが先送りされてきた背景には、英国の欧州連合(EU)離脱など海外要因もあるが、米国経済自体が期待されたほど伸びていないことがある。

 重要なのは、利上げを徐々に進めても耐えられるほど米国経済が力強さを取り戻すことだ。そうなれば世界経済の安定だけでなく、日米欧に広がる異常な超低金利状態からの脱却への道も開ける。

 人口の増加や産業革新の気風など、米国は他の先進国にない活力源を持つ。企業活動を促し、働く低所得者を支援するような規制・税制改革などを通じて潜在成長力を回復させる努力が求められる。

 今回の利上げ見送りは、物価上昇率が2%を下回る水準で足踏みし、労働需給もまだ逼迫してはいないとの判断による。ただ、政策を決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は「利上げの条件は整ってきた」としており、市場では12月に利上げが実施されるとの見方が有力になっている。

 しかし、その先の利上げのペースは昨年末の利上げ開始時の予想よりもかなり緩やかで限定的との見方が多い。その根拠としてあげられているのが「潜在成長力の低下に伴って、米国は以前よりも金利の上昇に対して脆弱な経済になっている」という分析だ。

 現在0.25~0.5%の政策金利を大きく引き上げられないことになれば、景気が悪化したときでも利下げの余地は限られ、金融緩和が効果を発揮しにくくなる。

 日本にとっても、米国の利上げ余地が小さいとマイナス金利など異例の緩和策からの転換が難しくなる。金利差を縮める措置をとれば円高を招きかねないためだ。

 問題解決のカギを握るのは米国の潜在成長力の回復であり、それには中央銀行ではなく政府の役割が欠かせない。日欧も同じ問題を抱えているのはいうまでもない。

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