2018年8月22日(水)

安保法の実行に欠かせぬ情報と判断力

2016/9/19 3:30
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 日本の対外政策を大きく転換する安全保障関連法が、いよいよ運用の段階に入る。自衛隊が任務を果たすには、入念な準備はもちろん、これまで以上に緻密な情報収集と高い判断力が必要だ。

 3月に施行された安保法により、自衛隊は主に3つの分野で活動を広げられることになった。

 集団的自衛権の行使を含めた米軍などへの支援、世界平和に貢献するための外国軍への支援、国連平和維持活動(PKO)における役割――である。政府はまず、このうちPKOから安保法の適用を始める考えだ。

 具体的には、11月から南スーダンのPKOに派遣する部隊に、「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」の準備をさせる。その成果や現地の情勢を踏まえ、問題がないと判断できれば、実際に任務を命じる方向だ。

 いずれの任務も安保法で初めて認められた。「駆けつけ警護」とは、PKOで一緒に活動する国連や民間の人たちが離れた場所で襲撃されたとき、助けることだ。

 「宿営地の共同防護」は、宿営地が攻撃されたとき、自分が直接、攻撃されていなくても、同じ拠点にいる他国軍と協力して守るというものだ。

 従来は、民間人や他国部隊から救助を要請されても、自衛隊は「法的制約」を理由に断るしかなかった。こうした状況が改められることは国際協力上、好ましい。

 その一方で、自衛隊が戦闘に巻き込まれ、死傷者が出る危険は高まる。実戦を想定した訓練を重ね、十分な準備が整うまで任務を始めるべきではないのは当然だ。

 南スーダンは事実上、内乱状態にある。政府は各国と密に情報を共有し、リスクを小さくする手立てを尽くすことが欠かせない。日本のPKO参加は、停戦合意などの5原則が守られていることが前提だ。この原則が崩れていないかどうか。情勢が急変すれば、政治指導者の判断力も問われる。

 政府は集団的自衛権行使などの新たな対米支援については、今秋以降、共同演習に取り入れていくことを検討中だ。その前に、米軍が何をどこまで期待しているのか、十分に調整してほしい。

 安保法は世論の賛否が割れている。政府はなお、理解を広げる努力を尽くすべきだ。そのためにも、PKOの活動状況や新たな日米共同演習などをめぐる情報は積極的に公開してもらいたい。

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