2019年2月16日(土)

春秋

2016/9/17 3:30
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南の島症候群という言葉があるそうだ。成功したらどこか南の島に移住したい。そんな夢を胸に日々の仕事にいそしむこころもち、といった意味らしい。自分をふりかえれば思い当たる。ハワイ、タヒチ、沖縄……。あこがれがつのり具体的な地名が浮かぶこともある。

▼南米ベネズエラのマルガリータ島も、夢想をさそう名前のひとつだ。「カリブの真珠」と呼ばれるほどに美しいビーチで知られている。ここがいま、厳戒態勢のもとにある。非同盟諸国首脳会議という国際的なイベントのためだが、ホスト役をつとめるマドゥロ大統領には、とりわけ警戒せざるを得ない事情があるようだ。

▼今月はじめ、大統領がこの島の視察におもむいたところ、鍋をたたいて抗議する市民に追い回される一幕があった。その前の日には首都のカラカスで、参加者100万ともいわれる大規模な反政府デモがあった。食料品や医薬品、日用品などモノ不足が深刻なせいだ。原油安の影響が大きいが、積年の失政の結果でもある。

▼けれど、大統領の言動からは反省の色はさほどうかがえない。大統領が追い回される映像をネットで流したマルガリータ島のジャーナリストは連行され、行方しれずだ。非同盟諸国会議ができて55年。半世紀を超える歩みのなかでもいちばん快適な場所でのサミットかもしれないが、どうにも情けないムードが漂っている。

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