豊洲の安全性の確認を急げ
一体どうなっているのか。東京の豊洲市場を巡る問題だ。
土壌汚染に関する専門家が敷地全体に盛り土をするように求めたのに、都の担当部署はそれを無視して主要施設の地下に配管などを通す空間を設けていた。にもかかわらず、それ以降もしっかりと盛り土をしているかのような説明を都議会や都民に続けていた。
これでは都は嘘をついていたことになる。豊洲市場はかつて有害物質が高濃度で検出された場所だ。都の対応はあまりにもずさんと言わざるを得ない。
まず、誰が、なぜ、どういう経緯で主要施設の設計を現在の形に変えたのか、明らかにすべきだ。事実と異なった情報を出し続けてきた理由も知りたい。
都庁は巨大な官僚組織である。その風通しの悪さが今回の問題を引き起こした一因ではないのか。都庁内の情報共有のあり方やチェック体制から再検討すべきだ。
盛り土がなされていなかったことによる環境面の影響も早急に調査する必要がある。地下水に関するこれまでの7回の調査は安全基準を満たしているが、市場関係者や都民が抱く不安は大きい。
施設の地下に現在たまっている水は有害物質を含んでいないのか。現在の構造でも、地下水をくみ上げて処理した後に排水するシステムを稼働させれば、安全性は確保できるのか。専門家の意見を聞きながら、多角的かつ冷静に調べるべきだろう。
小池百合子知事は、かつて土壌汚染対策を提言した専門家会議を再度立ち上げると同時に、それとは別に豊洲市場の調査チームを設けて事業費の問題も含めて検証する方針だ。調査結果をもとに、今後どういう対策が必要なのか、できるだけ早く示してほしい。
大切なのは一連の問題の原因を包み隠さず公表し、説明責任を果たすことだ。今回、失ったのは豊洲市場の安全性に対する信頼だけではない。都政そのものに対する信頼が著しく低下したことを関係者は肝に銘じるべきだ。
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