通販拡大にあわせた物流高度化を急げ

2016/9/15 3:30
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物流サービスの高度化が急務になってきた。インターネット通販の広がりで運ぶ荷物の個数が増える一方、現場の人手不足が深刻になっているからだ。メーカーや倉庫・運輸業界はIT(情報技術)の活用や異業種間の協力を進め、ビジネスや生活のインフラである物流が滞らないようにすべきだ。

2015年度の国内貨物輸送量は約47億トンと、ピークの1991年度から3割減った。しかし宅配便の取扱個数はここ15年間に倍増した。工場の海外移転などで大口需要が減る一方、主に個人が利用する小口貨物が増えた形だ。

これまで企業の物流合理化は主に産業資材や大量の商品を効率よく運ぶことに力を入れてきた。喫緊の課題は、発注に応じ倉庫の棚から商品を1個ずつ集め送付先ごとに小分けする、玄関先まで配達するなど細かな作業の効率化だ。

商品を集める際、コンピューターの音声に従い作業する。商品の場所をランプで教える。このような効率向上のための新システムをベンチャー企業などが開発している。倉庫内を自在に動く無人台車も登場した。新しい仕組みは積極的に生かしたい。

倉庫の老朽化も課題だ。首都圏の倉庫の3割は築30年以上たつ。従来の倉庫業は保管業務が主だったが、現在荷主が求めるのは、ネット通販などに対応し、値札付けや検品など細かいサービスも請け負う高度な物流センターだ。

こうした需要を見込み近年、大手不動産会社やファンドが大型物流施設の開発と物流業務の請け負いに進出し始めた。省力化や情報機器の活用で、女性や高齢者も働きやすい職場になりつつある。物流センターの誘致は自治体にとって有力な地域振興策にもなる。

配達分野でのイノベーションも必要だ。東京地下鉄やヤマト運輸などが鉄道で宅配便を運ぶ実験を始めた。地方では路線バスで荷物を運ぶ試みも始まった。駅での受け取りロッカー設置も進む。こうした異業種間の連携をもっと広げてはどうか。人工知能(AI)による配達ルート作成やドローンによる運搬も重要になる。

効率がよく正確で快適な物流サービスは、生活の満足度を上げるだけでなく、物販を通じた起業やまちおこしを後押しする。きめ細かい物流サービスは、いずれアジアなど海外でも求められる。先行投資の意味でも、サービス開発とノウハウの蓄積を急ぎたい。

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