百貨店に「のれん頼み」の壁

2016/9/13 3:30
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百貨店の店舗閉鎖に拍車がかかってきた。今年から来年にかけ大手百貨店だけで少なくとも8店が店を閉じる。消費不振もあるが、老舗小売店の「のれん」に頼り、仕入れの仕組みなどの構造改革を後回しにしたことが背景にある。

今月末には西武旭川店とそごう柏店、来年春には三越千葉店などが営業を終了する。いずれも郊外や地方の店だ。これまでは都心の旗艦店の収益で支店を支えてきたが、消費の低迷が続いているのに加え、外国人観光客の買い物熱も冷め、余裕がなくなった。

百貨店の収益は主に衣料品が支えてきた。納入するアパレル企業とは「売れた商品だけ仕入れたことにし、売れ残りは自由に返品できる」という独特の商慣行があった。在庫リスクは百貨店ではなく納入業者が負うため、商品を選ぶ目はどうしても甘くなる。衣料品で一定の利益が稼げるため食品や各種サービス部門などをリスクを取って育てる動きも鈍くなる。

衣料品はどの店にどんな商品を納入するかも納入業者の意向に左右されるため、地方店に流行の服が届かなくなった。消費者は売り上げに応じてテナントを素早く入れ替えるショッピングモールや駅ビル、便利なネット通販に流れた。百貨店ならではの魅力だった海外高級ブランドも日本法人を設立、自ら店舗展開に乗り出した。

こうした構造問題に適切な手を打たなかった結果、百貨店の売上高はピークだった1991年の6割強の水準まで減った。

百貨店が縮小均衡以外の道を探るとすれば、新たなデザイナーやブランドの発掘、独自の品ぞろえや商品開発、モノではなくサービスや「居場所」の提供などが必要になる。いずれも自らリスクを取る姿勢が求められる。優良な顧客層という資産をうまく活用できるかどうかがカギになろう。

のれんやブランドは変身や革新を続けることで磨くものだ。守ったり頼ったりするだけでは成長につながらない。流通以外の業界でも教訓としたい。

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