2019年7月21日(日)

増えるユーチューバー、高まる表現規制
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

2016/9/15 6:30
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最近、ユーチューブで人気を誇る、いわゆる「ユーチューバー」がやたらと多くなっている。

菓子作りで人気のユーチューバー。このケーキは映画「ファインディング・ニモ」が題材

菓子作りで人気のユーチューバー。このケーキは映画「ファインディング・ニモ」が題材

無名の一般人が何らかの技を披露し、それが口コミで話題を呼んで100万を超えるビューを得る、というタイプの人々だ。独自のチャンネルを設けてビデオを連作し、視聴者も楽しみにする。

ファンクラブもでき、場合によっては著作や自分ブランドの商品を発表したり、メジャーのテレビ局からお誘いが来たり。いかにも現代的なサクセス・ストーリーが生み出されているのだ。

ユーチューブで人気を得てスターになる若者はこれまでもいた。ジャスティン・ビーバーが好例だろう。だが、今や年齢層によってはテレビよりもユーチューブの視聴者の方が多い。ユーチューブの調べでは、18~49歳はどのケーブル・テレビよりもユーチューブを見ているという。

また、広告費で10万ドル以上を稼ぐチャンネルは、年々50%ずつ増加しているとのこと。工夫次第で全米、いや世界の注目を集めることも不可能ではないと思わせる前例が多数あるのだ。

現在、ざっと数えただけでも大きな人気を集めるユーチューバーは100人近くいる。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

ゲーム解説で人気を得たのは、ピューディーパイ。大学をやめて、ユーチューブ中心のキャリアに転換した。時にナンセンス、時に深い洞察のあるコメントが飽きさせない。現在世界で最も稼ぐユーチューバーと言われ、チャンネル登録者は4780万人以上だ。

ミシェル・ファンは、ファッションと化粧指南で人気となった。ベトナム系で、これまでの白人中心的な風情とは異なる魅力。素顔からさまざまなテーマで変身していくメークアップの様子も目が離せなくなる。現在は自身の化粧品ブランドも立ち上げている。

リリー・シンは女性のコメディアンで、これから着ていく服が決まらないといった日常的な話題をおもしろおかしく自演する。また、ロザンナ・パンシーノは、映画や漫画から着想したお菓子を作り上げていくのだが、意外なアイデアで楽しませてくれる。

彼らのビデオはとにかく凝っている。ピューディーパイの編集は実に細かく、ミシェル・ファンが使う化粧品の数はすさまじい。リリー・シンの身ぶり手ぶりと表情の派手さはとてもまねできるものではなく、ロザンナ・パンシーノにいたっては、菓子オタクとでも呼びたくなるほど精巧なケーキを作り上げる。

彼らは、素人ながら素人離れした技の持ち主で、セレブのようにただ美しく振る舞っているのではなく、その技をこれでもかと駆使する。その労力が人気の秘密だろう。

さて、今ユーチューバーたちの間で懸念が広がっている。それは、広告主が不快と感じるようなコンテンツや言葉遣いを、ユーチューブが厳しく取り締まり始めたことだ。そうしたビデオには広告表示を停止し、それを画面で通達するようになったのだ。

ギリギリの表現でファンを楽しませてきたユーチューバーも多く、当たり障りのないビデオだけを許すのならば「子供用チャンネルになってしまう」と、彼らは不満の声を上げている。

ユーチューバーたちの収入の大部分は、各ビデオに合わせて流れる広告によるものだ。規則と表現がどこで折り合いをつけるのか。これは、ユーチューブの性質を決定する意味で、大きなポイントとなる。

[日経MJ2016年9月11日付]

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