春秋

2016/9/8 3:30
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科学者さんたちもなかなかイキなことをする。そんな思いがわいた。火星と木星の軌道のあいだにうかぶ小さな天体がフレディマーキュリーと名づけられた、とのニュースを目にしたときだ。史上最高ともたたえられるロック歌手にちなんでいるのは、いうまでもない。

▼英国のロックバンド、クイーンのフレディ・マーキュリーが亡くなったのは1991年。その年に、くだんの小惑星は発見されていた。国際天文学連合という学術団体が命名を発表したのは、生きていれば70歳になるという誕生日だった。そんなタイミングで、かつて歌ったそのままに「空をかける流星」となったわけだ。

▼天文学者さんたちは、科学者のなかでもとりわけロマンチックなのかもしれない。たとえばフレディと同じマーキュリーという英語名をもつ水星の地名である。ホメロス、紫式部、ミケランジェロ、狩野永徳、ベートーベン、タゴール……。表面をおおうクレーターたちの名前はあたかも古今東西の芸術家たちの一覧表だ。

▼もっとも、水星の地形がくわしくわかるようになったのは電波望遠鏡や探査衛星といった科学技術があったからこそ。そして科学技術はむかしから軍事と深くかかわってきた。フレディの名前が天空にあらわれたのと前後してミサイルの発射をくり返している国もある。イキでもロマンチックでもないことが地上には多い。

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