2019年7月24日(水)

春秋

2016/9/4 3:30
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この夏公開されヒット中のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」。大人の足を映画館に運ばせた裏に、怪獣映画にしては珍しい設定がある。ふつう巨大生物を迎え撃つ役回りは軍人か天才科学者。しかし今作では、若手の政治家や官僚ら背広姿の集団が主役を務めるのだ。

▼会議の手配、根回し、コピー機の搬入、徹夜の資料作り。取材を重ねた描写は細かい。首相官邸の中をのぞき見するような面白さもある。加えて怪獣との最終決戦では、詳しくは書けないが、軍事力ではなく民間企業が持つ技術力や生産能力、設備が重要な役割を果たす。それらを動員できたのも官僚の力という筋書きだ。

▼目標と道筋は役所が決め、議員の後ろ盾も巧みに生かし、大手企業を自在に動かすことで国を正しく導く。城山三郎氏が「官僚たちの夏」で描いた高度成長期の霞が関には、そんな構図がまだあった。今回の映画の登場人物たちは、当時の熱気に通じるものを感じさせる。無名の官僚たちが、それほどカッコよく描かれる。

▼現実には、企業の進む道を政治が決めるターゲティング・ポリシーはほぼ的外れに終わる。失われた25年に私たちはそう学んだ。「シン・ゴジラ」には政治家や元役人など硬派な方面からの論評も目立つ。総じて好意的だ。政治や役所の強い指導力を望む空気が今の日本にあるとすれば、娯楽映画の話と笑っていられない。

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