2019年8月25日(日)

意外な優良顧客を見つける 「DMP」の威力
ネットイヤーグループ社長 石黒不二代

2016/8/30 6:30
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デジタルマーケティングの施策の範囲は広い。今では、どの企業も実施し、新しい技術を次々と追加している。ウェブサイト、デジタル広告、ソーシャルメディアの企業アカウント、キャンペーン――。これらに続く施策として注目を浴びているのがデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)である。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

DMPは何年も前から欧米では実施されている施策である。自社で収集できるデータと外部から取得するデータを一元管理し、それらのデータを分析して様々なマーケティングのアクションに利用できるというプラットフォームだ。

日本では、外部データを利用できる状態になっていなかったため、DMPの利用が遅れていた。だが、その準備がまさにそろってきた。

DMPに格納できるデータには、広告配信データとオーディエンス(視聴者)データがある。広告配信データをみれば配信時間や経路(チャネル)、広告の種類、配信方法・地域、端末の情報や広告指標などがわかる。

オーディエンスデータには、(1)自社サイトの閲覧状況(2)閲覧者や利用者の属性(年齢、性別、所得、職業など=デモグラフィック情報)や興味関心事(3)サードパーティーデータ(外部のデータ企業が提供する生活者全般の属性に関する情報)――がある。

特にサードパーティーデータの内容が充実したことでデジタルマーケティングの施策の幅が広がり、企業のDMPへの関心が一挙に高まった。

例題を使っていかに有益かを説明してみよう。

購買が実店舗で行われる高額商品では、既存顧客の中心は50、60代の男性である。まず、ウェブサイトの行動履歴を分析してみる。ここでわかったことは、店舗への送客を行う検索ページを最も閲覧・利用しているのが40代の女性である点だ。つまり、50、60代の男性の奥様が送客に関与したのではないかとの仮説を立てられる。

今まで男性的な格好良さを強調していたデジタル広告やサイトの内容を見直し、思いきって女性を主役にしたものに変えてみた。すると、送客が倍に増えた。

ここで利用したデータは以下のとおりだ。

高額商品であるため、年齢や性別や実名も既存顧客のデータは企業が所有している。サイトでの行動(閲覧・利用)履歴の中でどのくらいの割合で店舗への送客まで絞り込まれていくかはサイトを分析するとわかる。ただ、これらは名前はもちろん、年齢や性別もわからない。だから、この時点では、店舗への送客で女性が関与していることはわからない。

ここからがオーディエンスデータの出番だ。閲覧者の属性・関心事(デモグラフィック情報)と生活者全般の属性に関する情報(サードパーティーデータ)を取り、サイトの閲覧状況と結びつけて分析すると、40代の女性というターゲットが浮かび上がる。

個人の属性に関するこれらの情報を提供しているのは、以下のようなサイトや会社だ。転職情報サイト、共通ポイント発行会社、インターネット調査会社、クレジットカード会社、情報サイト、コミュニティーサイトといったところだ。

国によって法規制も異なるため提供を受けることができるデータの数も種類も異なる。日本でも欧米のように、属性情報や興味関心事がわかる外部データとネットの来歴情報(クッキー)を結びつける企業が出てきたことでより使いやすくなってきた。

先にあげた高額商品の例であれば、女性サイトをよく見ているというネットの来歴情報が店舗送客と関連性があることがわかったから女性という仮説を立てられた。100%確実ではないが、データを可視化したことによってターゲティングが可能になった。これがDMPの貢献である。

[日経産業新聞2016年8月25日付]

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