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次々と「国内初」 Bリーグ事務局長・葦原一正(上)

リオデジャネイロ五輪で健闘した女子と対照的に、40年間五輪から遠ざかるバスケットボール男子日本代表。来月開幕の新プロリーグ、Bリーグが挽回の第一歩となる。選手強化だけでなく、ファンを増やし、お金を稼ぐための再出発。「国内初」の冠がつく数々のビジネスモデルを主導するのが事務局長の葦原一正だ。

施策について「海外のスポーツビジネスをベンチマークにしている」という

綿密な調査とデータで裏付け

従来のバスケ界とは桁が一つ違うソフトバンクとの推定年30億円の放映権契約。クラブとリーグの顧客データの一括管理。矢継ぎ早の新手はクラブの収入を増やし、選手の懐も潤す。

「改革の一丁目一番地」と葦原が話すプランも控える。日本代表のスポンサーやテレビ放映権などバスケ協会の権益と、Bリーグの権利を別会社に集約。ファン獲得のため迅速に再投資する。米プロサッカーなどが導入。成長の原動力となったが日本に先例はない。

「海外のスポーツビジネスを指標にしている」。改革には綿密な調査とデータの裏付けがある。その姿勢は統計学を専攻した早大大学院時代から変わらない。

交換留学を志すも、米国の学校は希望者が列をなしていた。資料をあさり、応募者ゼロだったのがフランスの大学院。仏語の面接試験は自作の想定問答集を丸暗記してクリアした。現地では、日本語を学ぶ同級生に授業を通訳してもらって無事卒業。「今も仏語は全然話せない」とは誇張だろうが、論理的なアプローチと事前の調査があれば難関を超えられると実感した。

29歳で入った野球界でも信念を貫いた。オリックスの企画グループ長時代。試合会場、天候、対戦カード……。パソコンに過去のデータを入力し、観客数を予測する方程式を作成。客足が落ち込む日は、イベントなどの手を事前に打った。

「無理だ」の声、押しのけヒット商品

前身の阪急と、合併により消えた近鉄のユニホーム復刻を企画した時、周囲は「無理だ」の大合唱。商標などの権利関係が複雑という説明をうのみにしなかった。「抜け道があるはず」と弁護士らに聞き込み、法令を熟読した結果、権利上の問題がないユニホームを発見。3年掛かりで実現した復刻版は着用した6試合だけで年間グッズ売り上げの2割を稼ぐヒット商品に。客席には今はなき近鉄を思い、涙するファンもいた。

DeNAの球団幹部を経て、コンサルティング会社に身を置いていた2014年。可能性の宝庫と見ていたのがバスケだった。国内の競技登録者はサッカーに次ぐ63万人。最大の障害が、実業団主体のNBLと完全プロのTKbjリーグの分裂。15年、国際連盟の外圧でリーグ統合が決定。バスケ協会の幹部も一新された。「競技団体とリーグが同じタイミングで変わることはめったにない」。旧知の大河正明Bリーグチェアマンから事務局長の誘いを受け、断る理由はなかった。

旧弊にとらわれていた10年間のリーグ分裂に数字と論理はなかった。新リーグは理詰めの形でスタートする。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊8月23日掲載〕

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