日向「ひょっとこ踊り」 伝統つなぐ面づくり
後継者育成で職人に デザインで新風も

宮崎県日向市に伝わる伝統芸能「ひょっとこ踊り」。赤い着物姿の踊り手がひょっとこやおかめの面をかぶり、笛や太鼓に合わせ腰を振るなどユーモラスな動きで踊る。江戸時代の里神楽が改良され明治時代に広がったとされる。
笑福舎(日向市)代表の海野数代さんはひょっとこ面を作る工芸作家。今月5、6日に同市内で開かれた毎年恒例の「日向ひょっとこ夏祭り」でも大勢の踊り手が海野さんの作った面で踊った。
製作する面は約30種類。粘土をこねて型にはめ、乾燥させて目や鼻の部分をくりぬく。表面を磨いて色付けし、最後に眉など細かい部分を筆で描いて仕上げる。完成まで2週間。「面の出来栄えは一つ一つ違う。すべて手作業で大変だけど面白い」。昔ながらのひょっとこの表情を守りつつ、自ら考えた新しいデザインも取り入れている。
同市内の会社でアクセサリーを製作していた2000年、市のひょっとこ面職人の後継者育成事業に応募。面作りを約1年間みっちり学んで独立した。
面職人は今も後継者不足が課題だが、海野さんは「ひょっとこ踊りが注目されれば面作りに興味をもつ人も出てくる。人を喜ばせる面を作り続けたい」と話す。
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