/

高齢化社会の象徴天皇制の姿を考えよう

先月中旬に「生前退位」のご意向に関し報道がされてから初めて、82歳の天皇陛下が「お気持ち」を国民に語られた。

「退位」の表現こそなかったが「象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのでは」などと案じられている。高齢化社会の象徴天皇制の姿を改めて考える機会としたい。

10分ほどのビデオで陛下は、ご自身が象徴として各地を訪れ、人々への信頼と敬愛を持った、などと述べられている。その上で、象徴天皇制下の天皇の立場として、高齢に伴い国事行為や公務を縮小することは無理があろう、との趣旨の考えを示された。

摂政を置く場合では「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続ける」などと懸念を持たれている。

象徴天皇が姿を示して活動し続けてこそ、皇室と国民の関係はいっそう深まる。お気持ちにはそんなご意向がにじみ出ている。重く受け止めたい。

現在の皇室典範には生前退位に関する規定が備えられていない。改正には国会での手続きが必要となる。国民の間にはその手法などをめぐって多様な意見があり、取りまとめには時間がかかるかもしれない。

一方で、マスコミ各社の世論調査では「生前退位を認めるべきだ」「制度を改正すべきだ」とする答えが軒並み半数を大きく超えている。「生前退位」は広く容認されているといっていい。

安倍晋三首相は、お気持ちの表明を受けて「どのようなことができるか、しっかり考える」などとコメントした。欧州での生前退位のケースも参考に、政府は速やかかつ慎重な検討を求められる。

今回、陛下はお気持ちの中で、発言内容に関し憲法上の制約があることを述べられた。いうまでもなく憲法は「天皇は国政に関する権能を有しない」と定める。

お気持ちが法改正を求めたと受け止められぬよう、宮内庁も配慮を重ねた結果だろう。学界などからは異論が出る可能性もある。特別な日時を設定しビデオメッセージの形で表明する手法も、適切だったか検証が必要だ。

2度の外科手術を経た陛下が高齢になり自らお気持ちを表明するに至るまで、象徴天皇制のあり方について議論を怠った政治の責任は重い。反省を促したい。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン