2019年7月20日(土)

春秋

2016/8/6 3:30
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プロ野球界の最近の明るい話題といえばカープ女子である。「女子」は地元の広島はもちろん首都圏で急増し、チームカラーの赤で球場が染まる。やれ野球のルールを知らない、応援マナーがなっていない、と眉をひそめる向きもあるが、とにかく元気にあふれている。

▼広島でオールドファンに聞けばこう答える。「カープはあの日からずっとわしらの希望だったんじゃけぇ」。あの日とはもちろん71年前の8月6日のことだ。万年Bクラス、遠征のお金にさえ事欠く。そんな貧乏球団を、球場入り口に置いた酒樽(さかだる)に募金を投じ市民が育ててきた。苦闘の歴史を知ってほしいとの思いは強い。

▼だがなにより、カープの原点にある広島の被爆体験そのものの風化が進んでいる。被爆者の高齢化にともない、8.6が何の日なのかさえ知らない若者が増えているのが現実だ。その一方で本や映画や漫画でヒロシマに触れ、被爆者の思いを次代に伝えたいと自ら行動を起こす若い人たちの取り組みも着実に広がっている。

▼被爆者の孫世代による企画展が開かれると聞いて、横浜市の会場を訪ねた。手作りのパネルの前で、大学生らが来場者に話しかけている。活動の中心となったウェブクリエーター、久保田涼子さんは「20代、30代の私たちだからこそできることがある」と話す。カープ女子の中からも、いずれ語り部女子が生まれるはずだ。

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