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プログラミング学習、マインクラフトで楽しく

山田 剛良(日経コンピュータ副編集長)

政府が小学校での必修化を打ち出すなど、プログラミング教育への関心がにわかに高まっている。若年層へのプログラミング教育での大きな課題が、モチベーションをどう維持するかだ。

どちらかといえば無味乾燥なプログラミング作業を楽しくする演出の一つとしてゲームの利用がある。その鍵を握るのは意外かもしれないが、IT(情報技術)の巨人、米マイクロソフトだ。

子供たちはマインクラフトでプログラミングを学ぶ(写真上、さいたま市)。作ったプログラムが自動でブロックを積む(同下)

「先生、ここちょっとおかしいんだけど、なんでかな」。さいたま市などにあるプログラミング教室「TENTO」。始業前の30分間、小学生の生徒が熱心にプレイするのがパソコンゲームの「マインクラフト」だ。

マインクラフトは全世界で1億本を売り上げ、日本でも小中学生に人気がある。仮想世界にブロックを配置し、ものや建造物を作る「箱庭系」と呼ばれるちょっと変わったゲームだ。決められたストーリーは一切なく、プレーヤーが創意工夫して自由に楽しむ。

こうした特徴から、マインクラフトを教育向けに利用する動きも盛んだ。海外では学校教育に取り入れられた例もある。TENTOの竹林暁さんは国内におけるマインクラフト教育の第一人者の1人。「とにかく子供の食いつきがすごい。勉強っぽくなく、楽しくコンピューター環境を学べるという点で圧倒的に優れている」と評する。

例えば、仮想世界内でブロックを自動で積み上げるプログラムを子供に作らせる。「いつもゲーム内で面倒だと思ってる作業だから目の色を変えて取り組む」(竹林さん)

本格的なプログラミングは英文のテキストで記述するが、マインクラフトでは様々なコマンド(命令)があらかじめブロック状になっていて、組み合わせればプログラムができる。改行や1文字空けといった書き方の基本は専用言語と同じで「本格的なプログラミングへの移行のハードルが低い」(竹林さん)。

そんなマインクラフトの教育利用が、今後国内で広がるか。鍵を握るのはマイクロソフトだ。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

同社は一昨年、マインクラフトを開発したスウェーデンの企業を25億ドルで買収して傘下に収めた。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は5月の来日時に、忙しいスケジュールの合間を縫って渋谷区立広尾中学校で行われたマインクラフトを使った授業を参観している。マインクラフトの教育利用は、CEO肝いりの事業なのだ。

同社は9月に学校教育用の「マインクラフト・エデュケーション・エディション」を正式に発売する予定だ。30人までが同時に使え、学校の貧弱なパソコンでも動作するという。教師が仮想空間にメッセージを表示し、皆で課題に沿って作品を作る、といった使い方ができるようだ。

ただし、教育関係者向けに無償で提供されているベータ版を見る限りでは、授業に使うには機能が不足しているとの声がでているようだ。プログラミング機能はまだ装備されておらず、生徒を統率するための機能も不足気味との指摘もある。

日本マイクロソフトは、「まずは先生に知ってもらうところから徐々にはじめたい」(小野田哲也パブリックセクター統括本部文教本部長)と慎重に進める考えだ。

米アップルも6月に「スイフト・プレイグラウンド」を発表。iPadで子供がプログラミングを楽しみながら学ぶアプリで、今秋に正式版の無償配布を始める予定だ。

若年層向けプログラミング教育という一見地味な場で、ITの巨頭が激突するのは面白い。未来はプログラミングにあるのかもしれない。

[日経MJ2016年8月8日付]

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