2019年8月20日(火)

長崎の離島がスマホ商品券 異例の即決導入

2016/8/6 6:30
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ギフティ(東京・品川)は11月から長崎県の離島で、プレミアム付き商品券を電子化する取り組みを始める。利用者はスマートフォン(スマホ)から簡単に商品券を購入でき、加盟店側はリアルタイムで購入データを把握できる。紙がゆえの課題を解消するため、離島の市町は決まりかけた予算をひっくり返す異例の対応で導入を決めた。

スマホに「電子スタンプ」を押すと支払いできる

スマホに「電子スタンプ」を押すと支払いできる

「これまでの商品券は購入にも換金にも時間がかかっていた。観光客を呼びこみ、職員の負担を減らすにはもっと便利なものにする必要があった」。長崎県内の離島市町で組織する「しま共通地域通貨発行委員会」の江口義信事務局長は語る。

ギフティ、商品券の発行・販売を手掛けるJ&Jギフト(東京・豊島)と同委員会が共同で11月からプレミアム付き商品券「しまとく通貨」を電子化する。

ギフティはもともと、メールや交流サイト(SNS)を使ってスターバックスのコーヒーチケットなどちょっとした贈り物をする「ソーシャルギフト」サービスを手掛ける。太田睦社長は「交通系ICカードを参考に、しまとく通貨のシステムを作った」と話す。

しまとく通貨は5000円で購入すれば、1000円の特典がつき計6000円分の買い物ができる。壱岐市や五島市など離島市町で利用が可能だ。観光産業への貢献は大きく、北関東地域や関西など遠方の観光客が増加。結果、しまとく通貨を導入してから観光消費額は16%、来島者数は10%近く上昇した。

J&Jの森悟朗社長は「地方の商品券の中ではかなりレベルの高い数字をたたき出している」と話す。一方で「離島がゆえに紙だとかさむ物流や倉庫のコストをもっと減らせるはず」と指摘する。

そこで3者はサービスの素案を昨年10月に決定。既に島の予算の内容が決まりかけていたが、ひっくり返しての導入となった。「利用方法の簡単さが魅力で、早期に取り入れたかった」と江口事務局長は話す。

利用者は専用の予約サイトでしまとく通貨を購入すると、島の販売店でQRコードを渡される。個人情報の確認を済ませQRコードをスマホから読み込むと、自分専用の会計画面が表示される。会計の際に店側に画面を見せ、加盟店側が利用者のスマホに専用ツールの電子スタンプを押すと支払いは完了する。

これまでの紙のプレミアム付き商品券は、購入者が購入の際に窓口で並ぶ必要があった。また、店側は紙のチケットを商工会議所などに赴き換金しなければならない。いつ、誰がチケットを使ったのか分からず、管理も大変だった。

しまとく通貨が電子化すると利用者はスマホから追加の入金ができ、より消費を促すことも可能だ。お土産屋や飲食店など加盟店側もリアルタイムで店舗での売上高を把握できる。指定した期日に自動的に銀行口座へお金が振り込まれ、お金の管理も楽になる。

今後、同委員会はしまとく通貨から取れるデータを観光産業の振興に生かす。例えば60代の観光客がよく訪れる飲食店を抽出し、島のタクシー運転手や観光ガイドに伝える。「より満足度の高い旅行になるはず」と江口事務局長は語る。ギフティは同様のサービスを他の自治体にも売り込み、スマホ商品券を広げていく考えだ。(大西綾)

[日経MJ2016年8月3日付]

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