社是 「国と民の利」あってこそ 海外拠点拡大し、リスク分散
タイ・CPグループ会長 タニン・チャラワノン氏(27)

2016/7/28 3:30
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「卵は1つのかごに入れてはならない」。アジア通貨危機を経て私はそれまで以上にリスク分散に心を配るようになった。通貨危機が落ち着くと東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に飼料工場、加工工場を相次ぎ設置した。いずれも成功しているが、ベトナムが突出して伸びている。

中国では河北省秦皇島、山東省青島に食品工場を設置し、中国からも各国へ加工食品を大量に輸出できる体制を整えた。従来は我々が中国に進出してきたが、中国からタイに企業を招く事業も始めた。通信大手の中国移動通信集団にCP(チャロン・ポカパン)グループの通信企業トゥルーの株を取得してもらった。上海汽車集団とはタイで自動車の生産に踏み切った。

タイの古都アユタヤに精米工場を新設し、ロイヤルアンブレラというブランド名のコメを中東やアフリカに大量に輸出し始めた。トルコ、インドなどでも飼料生産から鶏肉加工までの垂直統合工場を運営している。

先にも述べたが、欧州ではベルギーの総菜会社、トップスフーズを買収した。マイクロ波で滅菌、殺菌する先進的な技術を持ち、常温で長時間の保存ができる。1日20万食の食品を欧州10カ国以上に輸出している。通貨ルーブル安のロシアは今がチャンスだ。鶏肉と豚肉を加工する垂直統合生産を実現した。欧州連合(EU)向けの輸出拠点としても利用できる。

グローバル企業になればなるほど意識しているのが「国を利し、民を利し、企業を利す」という社是だ。国家・地域の利益があり、人々の利益があり、最後に企業の利益が来る。どこの国に出かけてもこの経営哲学は変わらない。企業利益を第一に考えれば国や人々の利益をないがしろにしかねない。誰からも支持を得られず事業は育たない。

とはいえ理想への道は平たんではない。こちらが人々の利益になると考えて努力しても、外部から認められずに、批判や攻撃にさらされる場合もある。私は耳に痛い指摘でも真摯に分析し、改善の努力をしている。鳥インフルエンザが流行し、タイの農家が苦しんだことがあった。伝染病をもたらす外部の鳥類と鶏が接触しないよう密閉型の鶏舎を設置し、拡散を食い止めた。

エビの養殖では抗生物質の使用が問題視されている。CPは抗生物質の使用にずっと反対してきた。最新の養殖池では外部との接触を完全に遮断し、空気中、水中あるいは土壌から病原菌が入らない仕組みを作りあげた。養殖池の水は浄化システムできれいにしている。飼料を含んだ水が外部に流れ出し、土壌を汚染しないようにした。環境保護などを支援する非政府組織(NGO)を招いて、効果を確認してもらっている。

経営幹部や新規事業の担当者を養成するため、タイ中部のカオヤイに大金を投じて300人を収容できる研修センターを建設した。グローバルな視野、理念を身につけてもらうとともに、国を利し、国民を利し、企業を利すという価値観を徹底させたい。

グローバル展開で絶対に忘れてはならないのはタイへの感謝の念だ。父が中国で農場などあらゆる資産を接収されたとき、タイの事業が私たち家族を救ってくれた。タイが私たちを慈しみ、育ててくれた。世界中どこに企業施設を設けても、CPグループは必ずタイの国旗を掲げている。

(CPグループ会長)

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