白髪おしゃれに楽しむには?

隠さず生かして染める

国際イメージコンサルタントの神津佳予子さんは「誰に何のイメージを伝えたいかで白髪への考え方は変わってくる」と言う。ベンチャー企業の社長ならエネルギッシュさをアピールするために白髪染めが必要な場合もあるが「白髪には年を重ねた豊かさというプラスイメージもある」。
だからといって、それまで染めていた髪を急に元に戻しても「何があった?」と周囲に余計な臆測を生むだけだ。「徐々に白をなじませ、カッコいい白髪にさせていくことをお薦めする」と助言する。
30代ながら白髪が多いという国際イメージコンサルタント・印象学者のakoさんも最初の数回は白髪染めに頼ったが、「キリがない」と黒髪を明るくして白髪を目立たなくさせるファッションカラーに変えた。だがそれも1カ月たつと頭頂部だけが黒いプリン状態になってしまう。そこで黒髪はそのままに、白髪部分にハイライトを入れることにした。これなら白髪が残ってもおしゃれに見える。
ただ、白髪染めに長年どっぷりはまった髪の毛は、そう簡単には変えられない。生活美容ジャーナリストで「大人の上品ヘア&メイク事典」を監修した山岸敦子さんは「1年がかりで『白髪を埋めるカラー』を卒業する心構えで」と話す。
頼るのは美容院だ。まず2~3カ月ほど白髪を伸ばしてから、筋状に色を入れる「ウィービングカラー」をしてもらう。新しく生えた白髪部分を筋状に染めるとともに、その先の白髪染めしてきた部分をハイライトで明るくし、新生毛と既染毛の色の段差をなくすという方法だ。これを2カ月に1回のペースですれば、早くて半年後から白髪を生かしたきれいなヘアになるという。
ウィービングで「白髪埋め」を卒業した東京在住の勝田孝子さんに話を聞いてみた。「とにかく毎月美容院に行かずに済むのが楽で」。顔回りに白髪が多く、以前は2週間もすると気になって仕方がなかった。そのストレスからも今はすっかり解放され、白髪を生かせるカラー法があることを実感したという。
タンガニーラ(東京・世田谷)の手束繭美マネジャーによれば、勝田さんに限らず、年齢とともに髪の毛がやせ、頭頂部の髪もペチャっと寝てしまうような人には、ウィービングを薦めているという。「髪の状態が良くなれば、白髪も含めて多様にデザインしていける」(手束さん)
洋服や姿勢も意識
白髪染めは強い薬剤を使うだけに、髪へのダメージは大きい。頭皮にべったり塗りつけるとアレルギー反応を起こすこともある。それだけに前後のヘアケアは重要だ。
神戸でヘアサロン「ディパーチェ・ユニオン」を手掛ける連尺野誠さんは「白髪が出てきたら、市販の白髪染めにすぐ手を伸ばすのではなく、まずは美容院に相談してみて」と言う。白髪の量や目立つ場所によってはヘアマニキュアやファッションカラー、ヘアカットの仕方でも白髪を目立たなくさせることができる。信頼のおける美容師に知恵を借りるのが先決だ。
白髪を「隠す」から「生かす」への転換――。そのためには意図的に白髪を残しているように見せることがポイントだ。akoさんは「ヘアケアを念入りにし、おしゃれに気遣うこと」と助言する。「白髪になったら肌の質感を上げるチークや清潔感を上げるネイルケアが効果的」。要は髪に構わないダサい人という印象を与えないことだ。
さらには洋服のトップスには明るい色、鮮やかな色を持ってくる。アンチエイジングに効果的な色を左図に示したので参考にしてほしい。「姿勢や表情に気を付けることも重要」とakoさんは語る。
外見だけでなく所作、コミュニケーションスキルも伴えば、円熟味という白髪のプラスイメージは完璧だ。すてきな白髪スタイルを目指して頑張ってみよう。
(福沢淳子)
[日経プラスワン2016年7月23日付]
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