2019年6月17日(月)

年金の受給資格緩和は慎重に

2016/7/21 3:30
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政府は来年度から、年金を受け取るために必要な保険料の納付期間を現行の25年から10年に短縮する方針だ。納付期間が25年に満たず、年金をもらえずにいる高齢者を救済することが目的だ。

生活が苦しい無年金の高齢者にとっては少しの額でも年金がもらえることは意義があるだろう。ただ10年間保険料を払えば年金がもらえるという認識ばかりが広がれば、今後国民年金加入者で、10年を超えて長く保険料を払い続ける人が減りはしないだろうか。

10年間の加入で支給される年金はわずかだ。それだけでは老後の生活を支えきれず、生活保護に頼る高齢者を増やしてしまうことにもなりかねない。できるだけ長く保険料を納めてもらい、将来の年金額を増やすための方策も同時に講じてほしい。

年金受給資格の緩和はそもそも、消費税率が10%に上がったときにその財源を活用して実施する予定だった。安倍晋三首相は税率引き上げを延期したので、本来は資格緩和も延期すべきだった。ところが先の参院選で与野党が早期実施を公約としたことから、来年度から実施の方向となった。

当初はこの措置で新たに年金を受け取れるようになる人は約17万人で、必要な国庫負担金は年約300億円とされていた。ところが精査すると対象者は60万人超で、必要額は600億円以上になるという。まずはこの財源をどう確保するのかが問われる。政府は責任ある対応を見せてほしい。

公的年金はすべての国民が原則20歳から60歳になるまで加入し、その間保険料を払い続けることを前提に設計されている。国民年金では、無収入や低収入でも加入し続けることができるよう、保険料の減免制度がある。収入が安定しない期間の保険料納付を猶予し、後払いを認める制度も備える。

年金受給の資格期間短縮によって、これら長期の年金加入促進策の利用者が減っては本末転倒だ。国民の老後の生活安定を損なわないよう十分注意すべきだ。

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