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VR、家族から総スカン? 皆で楽しむコンテンツを

(徳力基彦)

プレイステーション4用のVRヘッドセット、いわゆる「プレステVR」の予約が6月に開始され、大きな話題となった。VRとはバーチャルリアリティー(仮想現実)の略。ゴーグル型のヘッドセットを装着することで、360度全方向が仮想現実の世界に没入できる。

VRヘッドセットは米オキュラスの「リフト」などパソコン用が販売され盛り上がりを見せているが、10万円前後が中心で、一般家庭に普及するには価格が問題となると言われていた。

そこにプレステVRは5万円を切る価格で切り込んだ。オンライン予約は文字通り「瞬殺」。店舗での予約も各所で行列が見られた。筆者も予約する気満々だったが涙をのんだ口だ。

「ファイナルファンタジー」や「バイオハザード」など有力ゲームが次々にVR対応を表明。最近はスマートフォン(スマホ)ゲームに押されて注目が薄くなっていた据え置き型ゲーム機業界で、久しぶりの明るい話題となっている。

今後注目されるのは、VRがどれぐらいの桁の数で家庭に普及するかという点だろう。

VRコンテンツは「没入型」と評されることも多いように、目の前を密閉する形での体験が中心になる。現時点では明らかに一般家庭のリビングとの相性は悪い。家族団らんのタイミングで、父親が1人でVRをつけて自分の世界に閉じこもってしまったら、家族から総スカンをくらうのは想像に難くない。

一昔前には3Dテレビが次世代テレビとして喧伝(けんでん)されたが、専用メガネやコンテンツが必要であまり普及していない。VRもメディアでの話題度に比べると一般家庭への普及は緩やかにとどまる可能性もまだまだある。

ポイントとなるのはやはり「VRならではのコンテンツ」だろう。

まず、ゲーム自体が重要なコンテンツになるのは間違いない。ただ従来型の1人で没頭するタイプのゲームだけでは、一人暮らしのコアゲーマーが利用者の中心になってしまう可能性が高い。

それ以上の幅広い世帯にVRヘッドセットを普及するために必要なのは、VR体験をシェアしたくなるコンテンツではないかと考えている。

任天堂の「Wii」が一世を風靡したように、家族全員で楽しむことができるようなVR体験が出てくる必要があるだろう。特に現時点でのVRヘッドセットは12歳未満は利用できないこともあり、子供がいる家庭との相性も悪い。

バンダイナムコエンターテインメントがお台場に開いたVR体感施設では、ヘッドセットをした体験者が高層ビルにいるかのようにへっぴり腰で歩く。ニコニコ超会議というイベントでは、VRを活用したホラーコンテンツのエリアで体験者が絶叫するため、人だかりができていたそうだ。

家庭用でも、こうしたVR体験をしている人自体を見ながら家族一緒に楽しめるようなコンテンツが出てくると、幅広い世代に広がる可能性も出てくるはずだ。

2人同時に仮想空間に入って物を投げつけあったり、声を掛け合って敵を倒したりするゲームも開発されている。一人で没入するのではなく、友達や恋人と同時に遊べれば、VR体験の印象ががらりと変わるだろう。

スマホのイノベーションも落ち着きつつある。VRがスマホに続く新しい時代を開くのか。しばらくは議論が続くことは間違いない。

(アジャイルメディア・ネットワーク取締役)

〔日経MJ2016年7月8日付〕

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