警戒必要な邦銀のドル調達コスト上昇

2016/7/7 3:30
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日本の金融機関がドルの調達に苦しんでいる。日銀の異次元緩和を背景にドルでの資金運用を拡大しようとしているが、米国の金融機関などが海外勢へのドル供給に慎重になっているためだ。

邦銀などは高い上乗せ金利を払って円とドルを一定期間交換する取引で資金を確保しているが、採算は悪化している。海外進出する日系企業の資金調達コストの上昇にもつながりやすい状況にある。

背景にあるのは米国の金融規制強化だ。米銀などに安全な資産運用を促すものが多く、この結果、海外勢が短期のドル調達手段として発行するコマーシャルペーパー(CP)や譲渡性預金(CD)などを買う金融機関が減っている。

世界の金融情勢次第ではドルの流動性が一段と低下し、邦銀や海外で活動する日本企業に大きな影響が出かねない。政府・日銀は警戒を強めるべきだ。危機時に日米欧の中央銀行がドルなどを供給する仕組みはあるが、これで十分対応できるかは不透明だ。

日本は、金融規制の強化がかえって金融の安定性にマイナスになりかねない恐れがある点についてもっと積極的に主張すべきだ。

日本の金融機関のドル調達コスト上昇については、もう一つ気になる点がある。

ドルと円の交換で高い上乗せ金利を得た外国の金融機関が日本の国債投資を増やし、これが日本の長期金利の低下を加速させていることだ。1年物で0.6%程度の上乗せ金利でサヤを得たうえで日銀が高値で買ってくれるとの安心感が国債買いにつながっている。

マイナス金利を嫌って国内の買い手は細っており、海外勢の国債購入増加は悪いことではない。ただ、逃げ足のはやい短期売買が中心であることに留意が必要だ。

英国の欧州連合(EU)離脱決定を機に世界的にリスク回避の機運が高まる中で、「安全資産」の日本国債が買われていると説明されることが多い。だが、日本の金融機関がドル調達の際に支払う上乗せ金利の拡大というきしみが、海外からの国債買いの一因になっている点も認識しておくべきだ。

日銀の大量購入や外国投資家の短期的な利ざや稼ぎに支えられた国債相場は危うい均衡に立っているともいえる。何らかのきっかけで大きく反転する恐れがある。そうした事態を防ぐためにも、政府は財政健全化の道筋をはっきりと示し、実行に移すことが急務だ。

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