将来の国民合意に向けた憲法論争を(16参院選 政策を問う)

2016/7/3 3:30
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アベノミクスの是非を問う参院選だが、憲法改正にどう向き合うかも大事な論点である。選挙の結果次第では、改憲に前向きな政治勢力が衆参両院で国民投票の発議に必要な3分の2の多数を占める。選挙後に無用な混乱を招かないためにも、各党は憲法への基本的な考え方を有権者にわかりやすく語ってもらいたい。

与党が経済政策に重点を置くことを野党は「争点隠し」と批判する。民進党は憲法改正を意識して「まず、3分の2をとらせないこと」がキャッチフレーズである。

では、野党は何を訴えたいのか。民進党は「安倍政権での憲法改正は認めない」と主張する。将来もずっと憲法に指一本触れさせないという古典的な護憲論ではないそうだ。

ならば、安倍晋三首相さえ退陣すれば、憲法改正に応じるのか。護憲派と改憲派が同居する党内事情を覆い隠す方便と有権者に受け取られないだろうか。

共産党は野党共闘のために「自衛隊をすぐなくすとは言っていない」というところまで歩み寄ってきた。だが、「自衛隊は違憲」は変えない。何ともわかりにくい。防衛費を「人を殺すための予算」と発言した藤野保史政策委員長の辞任劇はその結果にもみえる。

他方、改憲草案を発表済みの自民党は質問されると「改憲は立党の原点」などと答えるが、自らはあまり宣伝しない。国政選挙はシングル・イシューで優劣を決める場ではないので、憲法一辺倒の選挙戦にする必要はない。だが、このままでは選挙を何回経ても国民の憲法への理解は深まらない。

現憲法が公布されて間もなく70年になる。現実政治とのずれはそろそろ直した方がよい。

改憲と聞くと9条を連想しがちだが、9条が最優先課題と考える国会議員は自民党でもさほど多くはない。大規模自然災害時の緊急事態条項の創設など国民生活に直結する課題から論じ合えば、与野党の接点はおのずからみえてくるはずだ。

先の英国の国民投票は二者択一の論戦が過熱すると、感情論に陥りやすいことを教えてくれた。日本で憲法改正の国民投票をする際、同じ轍(てつ)を踏んではなるまい。参院選でしっかり憲法論争をしておくことが、将来の国民合意の土台となる。

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