2019年1月24日(木)

360度画像で店内散策 自由に動いてネットで買い物
野呂 エイシロウ(放送作家・戦略PRコンサルタント)

2016/7/7 6:30
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最近、企業のサイトを見ていると「360°」と書かれたマークを見かける。画像を触って動かすと上下左右、自由自在に視線を向けることができる。ちょっとだけ、その場所にいるような気分になる。

矢印をクリックすれば店内を移動。床や天井まで眺め回せる

矢印をクリックすれば店内を移動。床や天井まで眺め回せる

この春、プレスリリースの配信サービス「PR TIMES」でも、360度の画像を見られるようになった。まずはアディダスやビームスの店舗のリリースで採用されている。見る方向を自在に動かせ、矢印をクリックすれば奥へ奥へと「散策」できる。気になる商品のすぐそばまで歩いていけるのだ。

プレスリリースはヘタすると、数秒でゴミ箱行きということも珍しくない。筆者も10秒程度しか読んでない。だが、この360度画像を使ったプレスリリースの平均滞在時間は4分を超えているという。読了率も約70%あるそうだ。この数字は正直驚いている。

「だったら、ユーチューブに動画をアップすれば一緒じゃん」と言われそうだが、利用者が自らの意志で動けることに楽しさがある。

この技術を開発しているのが、VR(仮想現実)映像などを制作するLIFE STYLE(東京・港)である。もともとはグーグル・ストリートビューの認定パートナーとして、数多くの商業施設やレストランなどを撮影してきた。

ストリートビューとは、風景を360度画像で眺めることができるグーグルマップの機能。皆さんも使ったことがあると思う。筆者も先日偶然、ストリートビュー専用の撮影車に遭遇した。

LIFE STYLEは、このストリートビューの屋内版を提供する会社として設立。これまでに約3000カ所をデータ化してグーグルに公開しているという。

同社が次に見出したのが独自の撮影機材と技術で提供する360度画像サービス「フリック360」である。4Kクオリティーのアクションカメラを数台搭載した機材で撮影。それをコンピューターで合成し、あたかもその場所にいるような雰囲気を味わうことができる。画像のつなぎ目がきれいで、不自然さは感じられない。

料金は店の大きさなどで変わるが、10万~20万円ほど。お客がいない夜中に撮影する。商業施設以外では、日産自動車の31車種の車内を撮影。これまで平面写真ではあり得なかった臨場感を味わえる。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

更にフリック360では、写っている場所や商品にURLを貼り付けることも可能で、閲覧者がそのままクリックすれば指定のサイトに飛ぶ。

カタログを請求したり、EC(電子商取引)サイトにジャンプしたりして、スムーズに買い物ができる。その場に行って買い物をしている気分を味わえるわけだ。現在、数社の大手商業施設と交渉中で、近い将来、実用化されるという。

LIFE STYLEの永田雅裕社長はVRゴーグルでも画像を見られるようにし、さらに臨場感ある映像体験の提供を狙う。「航空機のパイロット気分を味わったり、あらゆる場所や設備をバーチャルリアリティーの世界で表現したい」と攻めの姿勢だ。

1999年の大ヒット映画に「マトリックス」というのがあった。真実の世界と脳で体験している2つの世界があるという物語だ。すべての景色を撮影してデータ化をしていくと、いずれそんな風になるのだろうか?

ボクらは、そんな時代の目撃者になる可能性がある。

[日経MJ2016年7月4日付]

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