2019年7月18日(木)

日本の針路みえる与野党の論戦に

2016/6/22 3:30
保存
共有
印刷
その他

参院選がきょう公示される。最大の焦点は安倍晋三首相の3年半の政権運営と、なかでもアベノミクスへの評価だろう。日本の成長力をどう底上げし、国民の将来不安をいかに解消していくのか。国の針路を明らかにするような与野党の論戦を望みたい。

■アベノミクスを問う

公示に先立ち、21日に日本記者クラブ主催の9党首討論会が開かれた。かなりの時間が経済再生と財政健全化をどう実現していくのかの議論にあてられた。

安倍首相(自民党総裁)は「就職率も有効求人倍率も高い水準となった。成果を出してきた」と述べ、2016年度の税収が国と地方をあわせて12年度より21兆円増加すると強調した。

公明党の山口那津男代表は「経済再生、デフレ脱却をさらに進め、その実感を地方や中小企業、家計へと国の隅々まで届ける」と訴えた。

民進党や共産党などは経済政策の大きな変更が不可欠だと主張した。民進党の岡田克也代表は「一人ひとりが豊かになっていない。働き方の大改革を実現していくなかで持続的な成長がはじめて可能になる」と批判した。

共産党の志位和夫委員長は「アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困を是正する」と力を込めた。

アベノミクスは円安や株高で企業収益をいったん押し上げたが、規制改革をはじめとする成長戦略はまだ十分な効果があがっていない。与野党は子育て支援や所得の格差是正などを重点政策に掲げている。「分配と成長」の考え方や必要財源をどう確保していくかといった具体策をもっと分かりやすく説明すべきだ。

安倍政権は17年4月の消費増税を2年半延期すると決めた。野党も増税先送りを容認する立場のため争点になりにくい。だが2度の増税延期で旧民主、自民、公明3党による「社会保障と税の一体改革」の合意は事実上破綻した。給付と負担のバランスをきちんと議論しないと、財政はさらに危機的状況に追い込まれかねない。

外交や安全保障では、立場の違いが際立った。民進党や共産党などは昨年成立した集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法について「憲法9条の平和主義に反しており廃止を求める」との立場で足並みをそろえた。

民進党は環太平洋経済連携協定(TPP)に関しても、コメや麦など重要5品目の聖域が守られていないとして「今回の合意には反対」との立場を示している。

野党として「政府の対応は問題点が多い」と反対論を展開するのはたやすい。しかし民進党は政権を経験した幹部が多い野党第1党として、建設的な対案を示す責任がある。共産党などとの選挙協力を優先して基本政策の軸がかすむようでは困る。

憲法改正を巡っては、岡田代表が「改正は論点でないというのはおかしな話だ。しっかりと参院選で議論すべきだ」と指摘し、与党の争点隠しだと強調した。首相は「自民党はすでに改正案を示している。(衆参両院の)憲法審査会で冷静に議論し、集約していくべきだ」と述べるにとどめた。

■次世代に何を残すのか

自民党では改憲で優先すべき項目として、大災害時などの政府の対応を定める「緊急事態条項」の新設が有力視されている。野党も「安倍政権での改憲論議には応じない」という態度ではなく、時代に合わせた憲法のあり方を議論していく必要がある。

首相は参院選の勝敗ラインについて「与党で改選定数の過半数(61議席)」と繰り返している。首相は「そんなに低い目標ではない。目標を定めた以上、責任が伴うのは当然だ」と語った。

民進党は本格的な初陣となる今回の選挙で、二大政党の一角を占め、将来の衆院選での政権交代を視野におく勢力を確保できるかがカギとなる。与党など改憲勢力が衆院に続き、参院でも改正案の発議に必要な3分の2以上の議席を確保できるかも焦点だ。

参院選では18歳と19歳が初めて選挙権を得る。日本は高齢者の声が政治に反映されやすい「シルバー民主主義」の問題点が指摘されている。与野党は互いに揚げ足を取るのではなく、次世代にどんな日本を引き継ぐのかという骨太の政策論争を展開してほしい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。