私的年金の普及へさらなる知恵と工夫を

2016/6/5 3:30
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少子高齢化にともない公的年金のスリム化が避けられないなか、企業年金を含めた私的年金の充実が求められている。通常国会では、このような私的年金を一部拡充する法律が成立した。

私的年金を利用できる人が広がるという点で今回の法改正は評価できる。ただ私的年金の普及率はまだ低く、今回の対策だけで十分とは言い難い。さらなる普及に向けた方策を引き続き検討し、中低所得層も含め、より多くの人が加入しやすくなるようにしたい。

先の国会で成立したのは、確定拠出年金制度の改正法だ。同年金は現役時代に毎月一定の掛け金を積み立て、その資金を加入者個人の責任で運用して将来の年金原資とするのが特長だ。企業単位で加入し、掛け金も企業が拠出する「企業型」と個人で加入する「個人型」の2つのタイプがある。

法改正で、どちらにも加入できなかった専業主婦や公務員が「個人型」に加入できるようになる。すでに企業年金に入っている人も「個人型」に加入することを可能にする。中小企業のために、設立手続きを大幅に緩和した簡易型確定拠出年金制度もつくる。

これらの措置によって、成人国民のほぼすべてが確定拠出年金に加入できる体制が整う。しかし、実際にどこまで加入に結びつくかは不透明だ。

今もすでに確定拠出年金の掛け金には所得控除など税制上の優遇措置がある。ここを整理し直して、特に中低所得者もメリットを感じられるような補助金や税額控除による支援なども検討に値するのではないだろうか。海外にはこのような対策を講じて、私的年金の普及率を上げている国もある。参考にしてほしい。

また、老後のための年金として積み立てた資金を退職時に一時金として受け取る人が多いことも課題だ。公的年金を補うという観点からは、毎月一定額を受け取る年金方式が望ましい。

この部分でも、税制面などで年金として受け取る方が有利になる仕組みをつくってもよいのではないか。特に、亡くなるまで支給される終身年金の形が優遇されるようにしたいところだ。

給付水準が下がっていく公的年金に私的年金を合わせて一定の年金額を確保し、老後を乗り切るという考え方は今後ますます大切になる。知恵と工夫でその環境を整えたい。

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