キリッとした後味 スパークリングワイン・ベスト10

柔らかな陽光が射す夏の午後、パートナーや友人とゆったり過ごすひととき。涼を添えるスパークリングワインの炭酸とキリッとした後味が心地よい。夏の午後を盛り上げる4000円までのおすすめ銘柄をランキングにした。
上位には仏シャンパーニュ地方で造られるシャンパンと同じ製法の銘柄が並んだ。スパークリングワインはワインに糖分と酵母を加えて2次発酵させることで特有の泡が生まれる。シャンパン同様、「瓶内で発酵させるとより深みのある味わいになる」(名越康子さん)という。
仏レストラン、トゥールダルジャン(東京・千代田)のソムリエ、工藤順平さんは「夏は酸味が際立つタイプやブリュットという辛口がおすすめ」と話す。おいしく飲むにはよく冷やすこと。時間とともに変わりゆく味わいにも注目だ。
スパークリングは料理にも合わせやすい。「泡がバランスをとるので肉料理と魚料理、どちらでも合わせられる」(工藤さん)。お気に入りの1本を見つけ、夏の午後を楽しみたい。

南アフリカを代表するワイナリー、「グラハム・ベック」が手掛ける。同国のマンデラ大統領の就任時や米オバマ大統領の当選時に祝杯として選ばれたことで知られる銘柄の、さらに上級クラスの1本だ。設備をすべて仏シャンパーニュ地方から取り寄せ、同様の環境で醸造する。白ブドウのシャルドネ種を100%使い、繊細な味わい。「熟したリンゴと白桃のコンポートのようなジューシーさ、レモンパイのような香ばしさがある」(富田葉子さん)、「酸味がフレッシュで小気味よい。バランスよくまとまっている」(柳忠之さん)。料理との相性の良さも評価を集め、「肉料理と合わせてがっつり飲みたい」(村田恵子さん)との声も。(1)南アフリカ西ケープ州(2)2700円(東急)(3)東急百貨店本店、トスカニー(http://www.tuscany.co.jp/products/detail28648.html)など
イタリア北部のワイナリー「フェルゲッティーナ」が厳選したブドウでじっくり仕込んだ。ブドウは自社栽培で、雑味を抑えるため果汁は35%しか搾らない。瓶内での2次発酵も24カ月と、産地基準より6カ月長い。「伸びのある酸が印象的で、フルーティーかつドライ。夏向きで飲み応えがある」(谷宣英さん)、「泡の立ち上り方がきめ細やかで味わいのバランスが素晴らしい。ホタテのグリルなど香ばしい魚介類と合わせたい」(工藤順平さん)。(1)イタリア・ロンバルディア州(2)3542円(3)Y'NSトウキョー(http://www.ynstokyo.jp/item/3907.html)など
100年以上の歴史を持つドイツの老舗ワイナリーの1本。独原産のリースリングというブドウ品種を使い、「ほんのりと甘さを含んだ酸味が長く続く」(阿部誠さん)。やや緑がかった明るい黄色で「熟した果実とナッツやハチミツなどの香りがバランスよくまとまっている。まろやかでふっくらとした味わいでフレッシュ感もある」(名越康子さん)、「ソラマメや冷ややっこと合わせてもいい」(谷さん)。(1)ドイツ・ライン地方(2)3310円(3)ピーロート・ジャパン(http://www.pieroth.jp/index.php?dispatch=products.view&product_id=9774506)など


製造過程で加えるリキュールに含まれる糖分の量が極めて少なく、素材本来の味に近い。「熟したかんきつ系の果物、ほんのりブリオッシュの香ばしさと複雑さがありバランスがいい」(富田さん)。「口当たりが硬質で、口の中がフレッシュになる。食欲を増進する食前酒に」(佐藤陽一さん)、「ムースのように泡がきめ細やかで、後味の苦さもなくチーズと合わせやすい」(村瀬美幸さん)(1)仏ブルゴーニュ地方(2)2916円(3)ラック・コーポレーション(http://order.luc-corp.co.jp/shop/g/g10107771509/)など

イタリア北部の老舗ワイナリーが、産地規定の2倍の36カ月かけて熟成させた。「ナッツやトースト、熟した果実など複雑な香り。ふくよかな味わいでフレッシュな酸味もあり、とても豊か。夕方涼しくなってから開けたい」(名越さん)、「泡がきめ細やか。酸もきいている」(松浦尚子さん)。「重めなので赤身肉など力強い料理とゆっくり飲みたい」(紫貴あきさん)。(1)イタリア・ロンバルディア州(2)3780円(3)エノテカ・オンライン(http://www.enoteca.co.jp/CR/)など

モエ・エ・シャンドン社がオーストラリアに設立したワイナリー。鮮やかなピンクで「ベリー系の香り。わずかなタンニンが心地よく肉料理に合う」(工藤さん)、「軽やかで酸味もやわらかい。ビーチで夕焼けを眺めながら飲みたい」(内藤和雄さん)。(1)豪ヴィクトリア州(2)2980円(3)カクヤス(http://www.kakuyasu.co.jp/ec/disp/CSfLastGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=61552)

「リンゴや洋梨などの風味に少しスパイスがある」(工藤さん)。「本格的なのに重くない」(林洋介さん)、「どのチーズにも合いそう」(村瀬さん)。(1)米(2)2624円(3)オンラインワッシーズ(http://winestore.jp/sp/)

「かんきつ系の香りと味わい」(佐藤さん)。(1)米オレゴン州(2)3240円(3)オルカ・インターナショナル(http://www.orca-international.com/wines/product_detail.cfm?lang=JP&pdtID=818)

「フレッシュな酸が心地よく上品」(名越さん)、「極辛口でシャープ。和食にも」(松浦さん)。(1)仏アルザス地方(2)2970円(3)トスカニー(http://www.tuscany.co.jp/products/detail29675.html)
10位 コノスル・スパークリング ブリュット(チリ)

「繊細で優しい気泡。青リンゴとライムの香り」(柳さん)、「酸がシャープ。シャワー上がりに」(村田さん)。(1)チリ・ビオビオヴァレー(2)1119円(3)酒のいしかわ(http://item.rakuten.co.jp/sakeishikawa/7804320319018/)
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表の見方 数字は選者の評価を点数化。カッコ内は生産国。(1)産地(2)税込みの実勢価格(3)主な販売店など。1~3位の写真はホテルニューオータニにて撮影。
調査の方法 ワインに詳しい専門家の推薦をもとに税抜き4000円未満の銘柄を25商品選定。専門家が商品名を伏せた状態で試飲し、「夏向きであるか」「値段とのバランス」などの観点で順位を付けて選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。阿部誠(サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス)▽工藤順平(トゥールダルジャン)▽佐藤陽一(マクシヴァン)▽紫貴あき(アカデミー・デュ・ヴァン講師)▽谷宣英(ホテルニューオータニ エグゼクティブシェフソムリエ)▽富田葉子(日本ソムリエ協会認定ソムリエ)▽内藤和雄(ヴィーノ・デッラ・パーチェ)▽名越康子(ウォンズ編集部)▽林洋介(遠藤利三郎商店)▽松浦尚子(サンク・センス白金ワインスクール・ショップ)▽村瀬美幸(日本チーズアートフロマジェ協会理事)▽村田恵子(ワイン王国代表取締役編集長)▽柳忠之(ワインジャーナリスト)
[日経プラスワン2016年6月4日付]
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