イマイチな夫の服装 まず試着、うまく褒める

シンプル・細身 まず試着
「センスのいいコーディネートに必要なのは、普通のシンプルな服を持つこと」と話すのはスタイリストの山本あきこさん。「毎朝、服に迷わない」(ダイヤモンド社)が30、40代の女性に支持されている山本さんは「基本は男性も同じ」と話す。

男性は一般にオンとオフの差が激しい傾向があるという。仕事でスーツを着る男性は特に、私服ならとカジュアルで体にも楽な緩めの服を選びがちだ。バーベキューなどアウトドア向きのチェック柄のシャツやポケットがたくさんあるカーゴパンツなど、カジュアル感の強い服をオフ用に持つ人は多いだろう。
その格好で食事やショッピングに行ってしまうと、TPOに合わなくてダサい、と妻は感じてしまう。山本さんは「ビジネスとカジュアルの真ん中を意識するといい」と助言する。
例えば、パンツはセンタープレスをきかせたタイプや細身のものを取り入れる。ビジネス寄りの上品な要素が加わり、こなれたスタイルになる。ゆるいパンツのラインを細身に変えるだけで「3、4キロはやせて見える」(山本さん)というおまけもつく。
だからこそ、パンツ選びは慎重に。「自分はL」などと決めつけて購入する男性は多いが、ワンサイズ下のMとLの2サイズを試着し、家族や店員など第三者に確認してもらうことが重要だ。それは「自分の体形を気にかけるきっかけにもなる」(山本さん)。夫婦で一緒に出かけ、試着に付き合おう。
暑さが増すこれからの季節、どんな服を持つといいか。山本さんはシャツなら白か紺のリネンのシャツ、赤や黒、青などはっきりとした色のポロシャツ、白か薄いピンクのVネックのTシャツを薦める。いずれもカジュアルでありながら、ビジネスの上品な要素を取り入れたアイテムだ。
同様な考え方でパンツなら白いデニム、ネイビーのチノパン。くるぶしが見えるように少し裾をまくると涼しげだ。靴はビジネスで多用する黒ではなく、キャメルか茶色のローファー。ベルトは靴に合わせた茶色のメッシュタイプを。こなれた印象になる。
「年齢は関係なく、プチプラ(プチプライス、低価格品)でも、好きな百貨店ブランドのものでもいい」と山本さん。ユニクロでは吸汗速乾性のポロシャツ(2149円)やストレッチ素材の動きやすいチノパン(3229円)などが定番で人気がある。
うまく褒めて変身促す
たかが服、されど服。恋人・夫婦仲相談所の所長、二松まゆみさんは「夫婦でも言ってはいけないことがある」と話す。「格好悪い」など外見についての暴言だけでなく、「隣の旦那さんは格好いい」など身近な人との比較は特にNG。「男性はデリケート。俳優やモデルとの比較よりも傷ついてしまう」
ではどうやって変身を促すか。二松さんは、妻が演出して、家族や友人を巻き込む1カ月間の「短期集中キャンペーン」を勧める。
全身を一気に変えるのは難しいので、まずは着手しやすい髪形から。美容院を変えるだけでも雰囲気は変わる。次いでシャツやパンツ、靴などを少しずつ変えていく。何かを新調するたびに娘や息子、しゅうとから「靴、すてきだね」などと褒めてもらうと効果的だ。一斉に褒めるのではなく「洗面所や玄関などそれぞれ別のタイミングで褒めることが重要」。
次は気の置けない友人と食事をするなどして、家族以外から褒めてもらう。「他人が言うから心に響く」と二松さん。実際、この方法で「週末にファッションウオッチに出かけるなど、夫婦仲が改善した例がいくつもある」。
新しいファッションに慣れたらしめたもの。「3年着ていない服は捨ててと言えば、納得して捨ててくれる」と山本さん。上手に変身を促して、楽しい夏を迎えたい。
(畑中麻里)
[日経プラスワン2016年6月4日付]
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