地方店がショールーム 高島屋、ネット通販へ誘導

2016/5/28 6:30
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高島屋が地方や郊外の店舗でインターネット通販の活用を進めている。店頭は在庫を減らした「ショールーム」とし、実際の購入はネット通販を勧める。地方を中心に購買力が落ちる中で、今まで通りに厚く品ぞろえするのは難しくなっている。見本や試着用の品に絞って在庫リスクを抑えながら、ネット通販になじみが薄い顧客にも利用してもらう。

旗艦店で開催しているイベントを、ネット通販と組み合わせて地方店に移植する(東京都中央区の日本橋店)

旗艦店で開催しているイベントを、ネット通販と組み合わせて地方店に移植する(東京都中央区の日本橋店)

5月中旬、高島屋高崎店(群馬県高崎市)の地下1階にある和洋酒売り場の一角に、期間限定の売り場「ショールームストア」が登場した。わずか2平方メートルの売り場で品ぞろえするのは、高島屋が今夏特に力を入れているワイン類だ。

「初夏のセレクトワイン」との名称でフェアを展開。ラグビー南アフリカ代表の中心選手であるスカルク・バーガー選手の関係者が作り、日本初登場となる「ウエルベダクト」の赤ワイン2本セット(1万2960円)や隠れたワイン大国と言われるスイスのワイン4本セット(1万800円)など14種類を取りそろえた。

高崎店のほか、岐阜店(岐阜市)、立川店(東京都立川市)と米子店(鳥取県米子市)でも5月中にショールームストアを開いた。

初夏のセレクトワインは旗艦店の日本橋店(東京・中央)で開催されているイベントだ。数多くの来店客が訪れる日本橋とは違い「通常であれば、高崎店などで実施するのは難しい」(営業推進部の小宮高広氏)。その課題を克服するために利用したのが、高島屋のネット通販だ。

高崎店ではチラシなどに掲載している14種類を置いているものの、日本橋店などに比べたら取り扱う量は極端に少ない。売れ残りのリスクを回避するためだが、少ない量を補うための方法として、販売員にはタブレット(多機能携帯端末)を配布している。

店頭などで試飲し、気に入ったので購入したいものの、すぐに持ち帰る必要がない来店客に対して、販売員はタブレットを使って「高島屋オンラインストア」の利用を促す仕組みだ。高島屋では在庫を圧縮するとともに、ネット通販の会員を獲得する手段としても期待する。

衣料品の分野でも同様の動きが広がる。3月にはオンワードホールディングスと連携し、店頭に試着用衣料だけを並べ、注文を受けると店員がオンワード側の在庫を確認し、取り寄せる取り組みを実施した。

狙いは地方店での衣料品販売を底上げすることだ。アパレルは在庫が膨らむことを避けるため、販売量が少ない地方店には最新の商品の供給を絞る傾向があった。来店客は店舗で試着し、サイズや質感などを確認したうえで店員に希望の商品を伝える。

店員はオンワードのネット通販サイトの在庫を確認し注文。商品は2~3日後に店頭で渡すほか、来店者の自宅に配送する。

まずは岐阜店でオンワードの婦人服ブランド「ソニアリキエルコレクション」を導入した。9日間の限定だったが、「目標の売り上げをほぼ達成できた」(高島屋)という。

子会社の東神開発(東京・世田谷)の運営する「博多リバレインモール by TAKASHIMAYA」でもランドセルの見本を並べ、ネットに誘導。店舗のない九州でも物販につながった。

在庫抑制と販売を両立させる取り組みはまだ緒に就いたばかり。いかに認知度を上げられるかが重要になっている。(豊田健一郎)

[日経MJ2016年5月25日付]

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