ルノワール展

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浴女たち KADOKAWA会長・角川歴彦
生命のよろこび ルノワール展から(8)

2016/5/24付
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あまりの人気ぶりに反発めいた気持ちもあり、私はこれまでルノワールをやや敬遠していた。ところが、最晩年の作というこの絵。ひと目で圧倒されてしまった。

風俗画家のルノワールがリウマチで凝り固まった手に絵筆を縛り付け、最後に大画面に描きとめたのが「森と裸婦」のテーマだった。クールベやコローを例に挙げるまでもなく、フランス近代絵画の伝統的な画題へ回帰したともいえるだろう。

KADOKAWA会長 角川歴彦

KADOKAWA会長 角川歴彦

しかし、裸婦を通して本当に伝えたかったのは、永遠の「清らかさ」であり「純潔」だったのではないか。じっと眺めるうちに、そう確信した。薄く溶いた絵の具を何度も塗り重ねた画面は、およそ百年たった今もひび割れ一つないという。

絵を深読みしすぎるのは、実はあまり好きではない。言葉にするほど、その絵の良さから遠ざかってしまう気がするからだ。私が敬愛する日本画家、高山辰雄先生の絵は、見る時の気分によって点描で描かれる風景の中に異なる色が浮かび上がってくることにいつも驚かされる。絵画も映画も文芸も、素晴らしい芸術とは、私たちの心にストレートに語りかけてくるのである。

(おわり)

 「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」は8月22日まで東京・六本木の国立新美術館で開催(8月16日を除く火曜休)。

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