「次」への警戒、解けず 連鎖地震 浮かぶ課題(1)
断層に割れ残り 動きの予測困難

2016/5/23付
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4月に発生した熊本地震は震度7を立て続けに記録し、広範囲に地震を誘発する異例の展開をたどった。余震活動は落ち着きつつあるが、専門家はさらなる大地震への警戒を解いていない。「連鎖地震」の教訓を次にどう生かすのか。活断層評価の限界や防災上の備えなど課題は多い。

「いつ起きてもおかしくない」。18日、都内で開かれた地震予知連絡会。日本を代表する地震学者らが次に来るかもしれない大地震について議論を交わした。「特に懸念されるのは日奈久(ひなぐ)断層帯の残りの部分だ」(東北大学の遠田晋次教授)との声も出た。

日奈久断層帯は長さ約81キロメートルで、北側の一部が熊本地震を起こした。熊本県八代市や水俣市付近など南西側では大きな地震がない。同じ断層帯の「割れ残り」が次の震源になるとの危惧は強い。

1995年の阪神大震災後、活断層の調査・研究は進んだ。政府の地震調査委員会は地形や地層の調査をもとに、主要な97の活断層で地震の規模や発生確率の予測を公表している。日奈久断層帯や、熊本地震の「本震」が起きた布田川(ふたがわ)断層帯も入る。

だが活断層がずれるのは1000~数万年に一度。いつ地震を起こすかは分からず、予測は不確実さが残る。防災に活用するうえで決定打となる情報が足りない。

熊本地震の影響は、九州内陸にとどまらない恐れもある。活断層をずらす力が、ほかの巨大地震につながる懸念はないのか。地震学者の中には、さらなる広がりを警戒する空気も強い。

名古屋大学の山岡耕春教授が「注意が必要だ」と指摘するのは、宮崎県沖の日向灘だ。

地震の規模を示すマグニチュード(M)7.1程度の地震が20~27年おきに発生するなど大地震を繰り返しており、前後には九州内陸部の地震が観測されてきた。双方に関連する力が働いているかもしれない。陸と海の岩板(プレート)の境界付近にあたる日向灘は、大地震が懸念される南海トラフの西端でもある。

東京大学の佐藤比呂志教授は「熊本地震は南海トラフ地震に先立って起きた可能性がある」と話す。内陸地震と海域の巨大地震はセットになりやすいという。2011年の東日本大震災の前にも、03年の宮城県北部地震や08年の岩手・宮城内陸地震などがあった。

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