2019年8月22日(木)

将来不安を拭わずに景気は上向かない

2016/5/20 3:30
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2四半期ぶりのプラス成長だが実力を映す数字とはいえない。

2016年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は前期に比べて年率換算で実質1.7%増だった。今年はうるう年で2月が1日多い。そのかさ上げを除けばゼロ%台半ばの低成長にとどまると多くの民間機関が指摘する。

最近のGDP統計は後に出てくる改定値が大きく振れることが多い。速報値が景気の現状を必ずしも正確にとらえない例もある。そのことにも留意したうえでGDPの内訳をみると、民間の設備投資が1.4%減と3期ぶりにマイナスになったのが目立つ。

今年初めから世界の金融市場が混乱し、円高や株安が進んだ。中国や新興国の減速など世界経済には不透明感が強い。3月の機械受注統計も4~6月期の見通しがマイナスだ。底堅かった設備投資の変調は企業の景気に対する心理の悪化を映しており、心配だ。

個人消費は0.5%増と2期ぶりのプラスになったが、うるう年効果を除くと横ばい程度だろう。期間中の雇用者報酬が1.3%増えた割には低迷している。輸出は訪日外国人の消費を含めて増え、輸入は減った。外需がGDPを押し上げた面もある。

15年度のGDPは物価の変動も含めた名目値で2.2%増と政府経済見通しの2.7%を下回った。21年度までに名目GDPを600兆円に増やす政府目標への道は出足から険しさが増した。

民間部門の活動が振るわない原因には、将来への不安が企業や家計に広がっている問題もある。

1つは社会保障の持続性への不安だ。企業と働き手が払う健康保険料などの社会保険料がなし崩しで上がり、家計を圧迫する。来春予定の消費税率引き上げに再延期論が強まっているが、単なる先延ばしでは不安は解消しない。

2つ目は成長力への疑問だ。日本経済の実力といえる潜在成長率は0.2%程度と推定される。地力がゼロ近辺ではGDPが四半期ごとにプラスとマイナスを行ったり来たりするのは当然だ。

政府は成長力の強化につながる労働や農業の規制改革などを迅速に実行に移す必要がある。付け焼き刃の需要追加策では心理は改善しない。日銀の金融緩和、成長につながる財政支出、そして構造改革による経済の体質改善を組み合わせてこそ、企業や家計の投資や消費への意欲を引き出せる。

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