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まるで無人販売ロボ スマホと自販機が連携

(藤元健太郎)

先日、米国のマクドナルドが店内の自動化を進めるためにレジを無くしてロボットで販売するという報道があった。人工知能(AI)が搭載されたロボットが我々の仕事を奪うと言われている状況なので、ややセンセーショナルな報道のされ方をされているのだろう。店内に配置された機械を見ると、要するにそれは自動販売機だ。

スマホアプリでポイントがたまる自販機などが登場

確かに自動販売機はデジタルサイネージ(電子看板)や電子マネー決済などデジタルコミュニケーションができるものが増えており、まさにロボットでもある。日本では500万台設置されており、実に身近な存在だ。

さらに日本は治安が良いことから屋外設置が多く、利便性を考えると世界で一番利用が進んでいると言えるだろう。そういう意味では「無人販売ロボット」の活用可能性が大きい国でもあるということだ。

日本コカ・コーラが4月に始めた「コーク・オン」は対応の自動販売機で商品を購入すると、スマホのアプリにスタンプがたまるようなサービスを実装。スマホとの連携ができる自動販売機になっている。今後、全国に約100万台ある自販機を全て置き換える計画だという。

「自販機と消費者をつなぐコミュニケーションがポスターやPOP(店頭販促)に限定されてしまうというボトルネックがあった。コーク・オンはこの課題のブレークスルーになる」(日本コカ・コーラ)

自販機をコミュニケーションツールとして活用する動きは他でもあり、同業のダイドードリンコもポイントがたまるカードに対応した自動販売機を増やしている。

コンビニエンスストアやスーパーなどの小売りの現場では、自分達が直接コミュニケーションをとろうとしても流通側にオペレーションの負担を強いることになったり、競合他社メーカーの存在もあったりで簡単ではない。

しかし、自販機であれば様々な施策を直接展開できる。例えば既にJRの自動販売機が行っているように、目の前に立った人をカメラで認識して商品をお薦めするようなこともできている。スマホから得られる情報を含め顧客の状況を判断して、適切な商品を売っている自販機の場所まで案内してくれるようなことも可能になるだろう。

ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職

これまでもどの商品がどこでどんな時間に売れたかというデータは在庫管理の観点からも収集活用が進んできた。今後は、どんな顧客がいつどこでどんな商品を購入したというデータがメーカーに直接蓄積される。それが強さの源泉になるという期待は大きいだろう。

ユニークな試みも生まれている。伊藤園はスマホの位置情報を活用した陣取りゲーム「イングレス」と提携。約2000台の自販機を、プレーヤーが奪い合う目印(ポータル)として登場させている。

今月、東京・お台場に自販機型のイングレス専用端末も登場させた。普通の自販機に並べて置いてあり、攻撃すると効果音や映像が流れる。飲み物ではなく楽しさを提供する「自販機」だ。

ゲームとのコラボで新しいファン層を開拓し、自販機をエンターテインメント化しようというアプローチが面白い。

日本は自販機大国であるが故に無人販売の抵抗感は薄い。人手不足が深刻ななか、人手がかからずデジタルコミュニケーションが可能な自販機の可能性は大きい。

メーカーのオムニチャネル戦略として、世界最先端のチャレンジがここから生まれることを期待したい。

(D4DR社長)

〔日経MJ2016年5月20日付〕

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