2018年12月19日(水)

愛着わく「ロボホン」 AIBOの後継者なるか
山田 剛良(日経コンピュータ副編集長)

2016/5/19 6:30
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利用者との対話や情報提供を主な用途とするコミュニケーションロボットの本命の1つ、シャープの「RoBoHon(ロボホン)」が5月26日に発売される。本体価格は19万8000円(税別)。これ以外に音声認識などを提供するクラウドサービス「ココロプラン」の月額980円(同)の利用料がかかる。

ロボホン(左)は他のコミュニケーションロボットに比べ小さい(4月のイベント)

ロボホン(左)は他のコミュニケーションロボットに比べ小さい(4月のイベント)

決して安いとは言えない価格の理由や、ロボホンの真の魅力について、ちょうど手元に届いた試用版のロボホンを触りながら考えてみた。

「動くロボホンを実際に見たらものすごく欲しくなりました。あの不思議な魅力は何なんでしょうね?」と話すのはロボット関連の調査などを手掛けるロボットスタート(東京・渋谷)の中橋義博社長。中橋氏はロボット業界の有志で主催する業界懇親会「ロボットパイオニアフォーラム」の仕掛け人の1人だ。

同フォーラムは4月、国内外のコミュニケーションロボット15体を一堂に集めたイベントを開いた。会場で見たロボホンは、他のロボットと大きく違っていた。

他に比べて小さいのだ。高さ19.5センチ、重さ390グラムのサイズは会場にそろったロボットの中では最小クラス。それでいて二足歩行のために13個ものモーターを備え、可動部が多い。

ロボットの部品コストはモーターの数に大きく左右される。可動部が多ければ故障のリスクも高まる。二足歩行できるコミュニケーションロボットは他に仏アルデバラン・ロボティクスの「NAO(ナオ)」などがあるが、いずれもロボホンより高価だ。

技術面からはロボホンの価格19万8000円は「かなり頑張った」と言える。逆に言うと二足歩行を諦めてモーターを半分にすれば、もっと売りやすい10万円前後の価格も可能だったはず。なぜそうしなかったのか。

それを解くヒントはロボホンのコミュニケーション力にある。音声認識が完璧という意味ではない。かなり正確であるが失敗もする。しかし失敗した時の仕草がかわいらしく、あまり腹が立たないようになっている。

細かい芸もある。例えば、メールを読み上げるときに文章中の「ありがとう」「電話」「運転」などの言葉に合わせてそれらしく身ぶり手ぶりしたりする。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

この辺りの作り込みには、開発に協力したロボットクリエーターの高橋智隆氏のノウハウが生きている。高橋氏は4月の発表会などで、ロボホン最大の魅力を「愛着」と表現し「小さい方が賢く見える」「少し生意気な言葉遣いの方がかわいく感じる」などロボホンに込めた愛着を生む仕掛けの一端を明かしている。

このサイズでの二足歩行や頭部に内蔵したプロジェクターといった一見、過剰な機能を備えたのも、愛着を生むための仕掛けなのだ。小さい身体で一生懸命、しかし意外に賢く頑張る姿こそが「ロボホンの不思議な魅力」を形作っている。

ロボホンは役に立たないから欲しくなるのだ。2台目のスマホを選ぶように、機能と価格だけで購入を決める商品と考えると見誤る。

とはいえ、19万8000円はおいそれと出せる額ではない。実機に触れないと魅力が伝わりにくいのも難しい要素だ。ただ、シャープが挑むこの困難な市場には成功の前例がある。1999年にソニーが発売した「AIBO(アイボ)」だ。

約7年間の販売で約15万台を売ったアイボの市場を、10年の時を経て引き継げれば「年内に10万台を超える」(4月の発表会におけるシャープの長谷川祥典・専務執行役員)という野望はあながち夢ではないかもしれない。

[日経MJ2016年5月16日付]

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