2019年2月18日(月)

サミットへ難題残す首相訪欧

2016/5/7 3:30
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安倍晋三首相が主要7カ国(G7)の首脳会議(伊勢志摩サミット)に加わる欧州首脳と意見を交わした。世界経済の腰折れを防ぐ柔軟な財政出動でG7の意思統一を働きかけたが、財政規律を重んじるドイツや英国は慎重だった。

世界経済は新興国の成長減速や原油安などの懸念材料を抱える。異変にそなえて主要国が緊密な協調を確認する意味はある。だが闇雲に財政出動での歩み寄りを狙うのは賢明ではない。議長国の日本は自国経済を強くする改革の実行を率先して示す責務がある。

訪欧の焦点はドイツのメルケル首相との会談だった。安倍首相は構造改革の加速とともに機動的な財政出動が必要と明言し、G7の協調を示したいと協力を求めた。

だが財政出動を景気対策に使う考えに否定的なメルケル氏は、中東などからの難民流入で「内需が喚起されている」と述べただけで応じる姿勢をみせなかった。

英国のキャメロン首相も「各国の事情に配慮する必要がある」と距離を置いた。フランスとイタリアの首脳は柔軟な財政出動の方針に理解を示しており、欧州内の立場の違いがはっきりした。

多額の経常黒字を抱えながら財政支出を増やすことに消極的なドイツには、米国も批判の目を向ける。余裕のある国が財政面で内需や投資を促すのは理にかなう。

だがサミットでは、金融政策、構造改革と財政政策をバランス良く展開する方向で協調策を探るのが適切だ。

安倍首相が「第三の矢」と呼ぶ構造改革については不十分との評価が多い。労働市場の岩盤規制の切り崩しなど、経済再生策の実行計画を具体的に説明すべきだ。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)など、貿易促進策の遅れの挽回も欠かせない。

難民流入やテロ対策、英国のEU離脱問題など、各国は様々な懸案を抱える。内向きが目立つG7の間で有効な合意を引き出す難しさを再認識したのが、首相訪欧の真の成果といえる。

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