2019年2月16日(土)

盗難自転車、スマホで追跡 愛車捜索に仲間も協力
野呂 エイシロウ(放送作家・戦略PRコンサルタント)

2016/5/12 6:30
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これまで、いくつの携帯電話をなくしただろうか? 警視庁の発表では、2013年の都内における携帯電話類の遺失届け出件数は24万件以上もあるという。

一方で、近年は、全地球測位システム(GPS)の追跡機能もついていて、発見することが容易になりつつある。筆者も何度もその機能で紛失した携帯電話を追跡した。だが、ほとんどは自宅の中という実に情けない結果である。

皆さんは自転車に乗りますか? 携帯電話の場合は、事故による紛失がほとんどだと思うが、自転車は違う。盗難が非常に多い。14年のデータでは、全国で29万台以上が盗まれているという。幸いにも筆者は、同じ自転車を18年も愛用しているが一度も盗まれたことがない。運がいいだけだろう。

最近は街でも高級スポーツ自転車をよく見かける。あんなのが盗まれたら本当に大変だろうと他人事ながら思う。ベンチャーのペダルノート(東京・中央)が、そんな問題を解決するツールを生み出した。

コイン型のビーコンを取り付けると1年間は電波を発し続ける

コイン型のビーコンを取り付けると1年間は電波を発し続ける

小原芳章社長は「友人が新宿で高級自転車を盗まれた」という悩みを聞いたのをきっかけに、自転車を追いかけられる仕組みを研究し始めた。

「自転車は盗まれてから3日以内が勝負。海外に売り飛ばされることもあります」(小原社長)。目をつけたのは発信機のビーコン。ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)という近距離無線規格を使い、自転車を探し出す。まるでスパイ大作戦の世界だ。

まずは、店で自転車を購入した後、ビーコンを車体につける。実物は非常に小さく軽い。これなら競技用自転車でも問題がない。

次に、iPhoneの専用アプリをダウンロード。設定では、自分の名前などをビーコンにつけられる。車体の情報も写真付きで登録し、盗難時に探す手がかりにする。あとは、バッテリーが切れる1年後まで追跡が可能だ。サービスの利用料は2000円に設定している。

万一、自転車が盗まれた場合はアプリを立ち上げ、サーチボタンを押すだけ。アプリをダウンロードした他のユーザーにプッシュ通知され、盗難車の電波を拾おうとする。ビーコンからの電波は半径50~100メートルしか届かないが、仲間が多ければ多いほど補足できる可能性が高まる。

発見された場合、見つけた人に自転車価格の5%をお礼として支払う。仮に、10万円の自転車を見つけたら5千円だ。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

同様の技術を使い、財布など貴重品を探したり、子供が迷子になるのを防いだりするサービスは既にある。ペダルノートの差異化ポイントは何か? それは「保険」だ。三井住友海上と共同で、このビーコンの技術と保険を組み合わせた試みをスタートする。

今までの保険は1年単位で、車両価格の1割強を支払わなければならなかった。それに対し今回は期間3年、保険料は自転車の値段により変わる、最低700円からと安い。万一見つからなかった場合、購入時の30%の金額が保険から持ち主に支払われる。

とはいうものの、自転車の持ち主にとっては、お金の問題ではない。競技用自転車は、持ち主が、自分の身体に合わせて様々なチューニングを施す。愛情を注いでいるので、なんとしても愛車を見つけ出したいという。

「一般の方が捜索だけのユーザーとして登録し、謝礼をもらうこともできます。自転車の盗難ゼロの社会を実現するのが目標です」と小原社長。サービスは今月中にスタートする。アプリの普及方法など課題はいくつかあるが、これで一台でも盗難が減ればと思う。

[日経MJ2016年5月9日付]

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