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聴覚障害者、孤立させない 避難所の連絡体制

重要情報は文字で

地震が相次ぐ熊本県の避難所で聴覚障害者への対応が課題となっている。聴覚障害者は館内アナウンスなどを聞き取れず重要な連絡を逃しやすい一方で、周囲が気づかず対応が後回しになって避難所で孤立する恐れもある。関係者は「避難所で大事な連絡をする際は文字情報を多く使うなどの配慮をしてほしい」と話している。

「お耳の悪い方はいらっしゃいませんか」。避難所となっている熊本県菊陽町の小学校。熊本市の公務員、後藤香織さん(40)が筆談用のホワイトボードを手に、被災者一人ひとりに声をかけていく。

後藤さんが所属する「熊本県難聴者中途失聴者協会」(熊本市)は18日から避難所を巡回し、避難中の聴覚障害者に手話通訳の無料サービスを紹介するなどしている。後藤さんは「掲示板が十分に活用されていない避難所もあり、重要な情報から取り残されている聴覚障害者は多い」と話す。

熊本県によると、障害者手帳を持っている聴覚障害者は県内に約9600人(昨年3月末時点)。耳が遠くなっても手帳の交付を受けない高齢者なども含めれば、聴覚に関する「災害弱者」はさらに多いとみられる。

福祉避難所に指定されている「熊本県身体障がい者福祉センター」(熊本市)には5人の聴覚障害者が身を寄せる。同市東区の安村敏男さん(78)は16日の「本震」後、近くの避難所で数日過ごしたが、食料や生活物資をどこで受け取れるのか分からず「黙って耐え忍んでいた」という。

21日に妻の兼子さん(81)と同センターに移り、ようやく県外の親族に安否を伝えることができた。「避難所では話しかけてくれる人もおらず、心細かった」と振り返る。

聴覚障害者が避難所に行くことをためらい、支援が行き届かないケースもある。3年前に聴力を失った同市中央区の本田ゆかりさん(50)は「自分だけが大変なわけじゃないから」と避難所に行かず、自宅近くに止めた車中で寝泊まりを続けている。本震後数日は自宅にあったお菓子だけで過ごしたという。

九州聴覚障害者団体連合会の松永朗理事長(78)は「避難が長期化すれば、体調変化を周囲に伝えにくい聴覚障害者の健康面も心配だ。手話通訳者を避難所に配置したり、福祉避難所を紹介したりするなど早急な対応が必要だ」と話している。

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