【ブリュッセル支局】欧州連合(EU)は29日に開いた英国を除く首脳会議で、欧州の単一市場に参加するには労働者の移動の自由を認める必要があるとの原則を確認した。EU離脱で移民の流入を抑えつつ巨大市場との自由貿易を維持したい英国に対し、例外は認めない。「いいとこ取り」を許さず厳しい立場を貫くことで、EUからの離脱を目指す国が相次ぐのを防ぎたい考えだ。
「単一市場に『アラカルト』はない」。トゥスクEU大統領は会議後の記者会見で述べ、英国がEU離脱後に、EU各国と関税なしで取引できる恩恵のみを受け続けることは認めないと強調した。
同日発表した共同声明では、EU離脱後の英国と結ぶ協定は「権利と義務のバランスが取れたものでなければいけない」と指摘。EUの単一市場とつながる権利を得るためには、労働者や物、サービス、資本の移動の自由をすべて受け入れる義務があると明記した。
人の移動の自由は英国が今後EUと進める離脱交渉で受け入れにくい条件の一つだ。離脱派は東欧などからの移民が英国民の雇用を奪っていると主張し、移動の自由を基本理念に掲げるEUを批判してきた。キャメロン英首相も28日の首脳会議で、英国が国民投票で離脱派が勝利したのはEUが移民対策を怠ったためだと矛先を向けた。
一方、英国は経済成長を続けるため離脱後もEUとの高い水準での自由貿易を望んでいる。離脱派を率いたボリス・ジョンソン前ロンドン市長は「人の移動の自由は認めないが、EU単一市場へのアクセスは維持できる」との持論を展開する。
こうした英国の身勝手な姿勢に対し、独仏などEU側は首脳会議で厳しい姿勢で臨んだ。メルケル独首相が「いいとこ取りはできない」とクギを刺したほか、オランド仏大統領も「人の移動の自由と単一市場のアクセスは一つのパッケージ」と同調した。英国の特別扱いを認めれば、反EU政党が勢いを増す他の加盟国が英国に続く「離脱ドミノ」が起きかねない。
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